「愛知和男氏
「日本社会・政治が直面する危機と挑戦」 Q&Aセッション
2001年3月7日 CSIS戦略国際問題研究所 (ワシントンDC)
Q1.以前大蔵省で予算編成局にいました経験上、なかからみれば大臣というのは会社でいえば社長みたいなもので、全ての人事権を掌握しているわけです。大臣は与党から選出されているわけで、政治的介入は大臣を通じればおこなえるのではないかと、私のようなまだ駆け出しの役人は思うのですがいかがでしょうか? A.制度上はその通りです。ところがなかなかそうはいきません。一番組織を動かしていくのに力になるのは今言われたように人事権です。ところが役人の人事権ほど難しいものはない。何年も先のいろんなことを事務方が考えて最終的に大臣のところへもってくるのですが、それに反対してしまったら、すべてが狂ってしまうので有無を言わさずその通りにさせられてしまうというのが実態です。したがって制度が存在していても実際には大臣は人事権に関して力をもっていないのです。しかし大臣にもいろいろありまして、「族議員」といって特定の役所と非常にご縁が長い人に対しては事前に人事をやるときに相談にいっている場合もあるようです。私はそのような立場にはなったことはありませんが。ですからその業界のボスみたいな人は多少人事に対する力を持つ場合もあるかもしれません。しかし一般的には政治家の主導力というものはないというのが印象です。 |
愛知和男 氏
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Q2.日本では党議拘束というものがありまして、今先生がおっしゃたように族議員がある程度の力を持つようなことがあっても、最終的には党の方針に従わなければならない。これに関連して、議員立法という話しがありましたが、与党から議員立法が出る余地はほとんどない、すなわち基本的に与党内で合意が得られているという条件がない限り出きるはずがない。それは憲法上の問題ではなくて、むしろ政治の問題、制度の問題だと思います。したがって憲法を改正するという議論ではなく、現在の議員内閣制という枠組みのなかでも政治主導でいかようにも改善できる、官僚へのコントロールもできるのではないかと考えるのですがいかがでしょうか。 A2.理屈ではそういうことかもしれませんが、それはなかなか難しいというのが実態です。その議論が重要だと思うのは、議員内閣制がこれから良いのかどうかという話しがこれから大きな課題としてありうるのだと思います。価値観が多様化してしまっている社会の中で、一から十まで全部のイシューで合意できる人を集めて政党を作るというわけにはいかないですね。ですから党議拘束というのは難しいわけです。それを無理やりやっているところがあるわけです。理屈はなにかというと、例えば自民党が候補者を出して、国会で投票して総理大臣になります。その内閣が出した法律だから賛成するというようになってしまうわけです。したがって出てきた法律が絶対に自分の政治信条から賛成できないとなればその政党から出なければならなくなるわけです。そういうところまで腹を据えて政治行動する人達が出てくれば多少変わるでしょうけど、それは実際問題としてなかなか簡単ではない。 私は全ての問題が官僚に原因があるといっているのではなく、政治家が主導権を発揮できない制度になってしまっているということを強調したいのです。それでは大統領制度を導入すれば良いかというとそんなに簡単なものではないでしょう。だからといって議員内閣制で、新しい時代に本当の民主主義を成熟させながら国家の運営というのができるのかということに対しては疑問があります。これに対してはいろんな議論がありますが、しかし真剣に議論にする対象になったということはいえると思います。 |
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| Q3.今の議員内閣制から大統領制に変えるというお話に関連しますが、党議拘束がゆるいというアメリカ大統領制ですが、そのなかで多様な利益・信条をもつ議員たちが例えば予算などを決めるときなどは民主党、共和党のなかである程度の合意を形成しなければならない。先生がおっしゃるような議員内閣制から大統領制への変化というマクロ的な議論をする前に、まず例えば自民党のなかで多様な利益をもった議員たちの意見を収斂させていけるような、いわゆる自民党のなかでの民主主義を促進していくようなシステムを内部で作れば多くの問題が解決されると思うのですが。 A3.アメリカの場合にはいわゆる党議拘束というのはないですね。各党の方針から反対するような議員が出てきたりすることがあるわけです。日本ではいくら党の中で議論をして「私は反対だ」といっても最終的には賛成しなければならない。アメリカの場合には最終的に自分の思うように行動し、それが記録に残って、その議員はどのような傾向の議会での投票行動をとるのかがわかるわけです。党というよりは個人の投票行動が注目されるわけです。日本の議員内閣制のなかではそのようなことをやろうとしても難しいです。だけど議員内閣制を取りながら党議拘束を緩めていくというものひとつの道かも知れません。 Q3b.党議拘束を緩めるということではなく、自民党のなかで多様な利益を表出、収斂できるようなシステムを作るというのは可能ではないのですか? 3bA.それは実際には自民党の中で具体的にはいろんな部会ごとに相当激しい議論をかなり綿密にやります。これで同じ党かと思われるぐらい激しい議論をやります。しかしこれはきわめて日本的なんですけど、何日もこの議論をやって最後どういうことをやるかというと執行部一任ということをやるわけです。そういうのを執行部が持ち出すわけです。そうすると議員は反対であっても「言いたいことはいった。仕方ない」と執行部に一任してそこで最終的な結論を出さないわけです。そういう仕組みで意見の収斂を図るということはやっています。しかし、部会も定員があるわけではなく誰でも参加できるものですから、執行部としても採決はできないし、どの辺が落としどころかというのを見るしかないんです。直接的なお答えになるかどうかはわかりませんが、そのような形での自民党の内部でも議論はやってはいます。付け加えると先ほど言いました通り最近そのような激しい議論が少なくなっているというのはあると思います。 |
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Q4.政治主導にならないという批判が、選挙で影響がでるイシューになっていくと思われますか。たとえば一般の人から見れば、民主党の議員に任せれば変わるかどうかということがあるわけです。政権党が変わっても制度が変わるのとは同じではありませんから、そういう政治主導という問題に対する有権者の期待というのは実際に選挙を戦う立場としてどのようにお感じでしょうか。 A4.実際にはあんまり一般の有権者は分からないでしょうね。だから選挙で政治主導ということをキャンペーンの柱にしてもあまりピンとこないでしょうね。 Q5.先ほどういう国造りをするかというお話がありましたが、まず目標を決めなければならない。しかしおそらく一般国民の意識のなかではいままで慣れ親しんだ経済大国になるというようなものが抵抗なく目標として受け入れやすいものだと思うのです。国民が国の現状をわかっているかは現実そうでないかもしれないですが、お答えできる範囲でご説明していただければと思うのですが、実際に政治をやられている方が今日本の将来をどのように考えているのか。例えば、いわゆる経済大国を目指すのか、それとも国連安保理の常任理事国になるというような国際社会での政治大国という道を目指すのか、もしくは経済はあまりこれからよくならないということでイタリアみたいに経済はまあまあだけど国民はハッピーだというような国を目指すのか。いかがお考えでしょうか。 A5.一番大事な課題だと思います。実際政治家のなかでそういう議論をしてるかといったら全然していないんですよ。そこが最大の問題だと思います。抽象的に国家目標を何にしたらいいのかといっても、なかなかその話は収斂しないから、その議論は憲法の議論でやろうというのが私の提案です。憲法というのはそういうものです。そこに何を書くかということに対してアイディアを出しているなかで国家目標みたいなのが出てくると思うんです。そういう以上自分のを出さなければいけないので、私は自分の憲法試案というのを前文から作りまして、それを公表しています。私のホームページを見ていただければ載っております。方法論としてはそのように行っていきたいと提案しています。中身はどうかと問われますと、私のテーマは環境なんですね。環境というのはいろんないろんな切り口があると思いますが、今は俗な言葉になっていると思いますが、「共生」ということが重要だと思います。お互いに相手の立場を認め合いながら共にいきるということです。実は日本という国はものすごくそういうことは伝統的にある国柄だと思うんです。ですから日本の良いところ、それをもっと発信できるものにして、国造りをしながら世界にも発信していくというのが一番良いんじゃないかと考えています。非常に抽象的な話しですが。 例えば国連というのもどのようにできたかというと、安全保障の問題を解決するためにできたわけです。ですから国連で地球環境問題をやるというのは後から付け加わったもので、なかなか国連で地球環境問題をやるというのは難しいんです。社会経済理事会などにくっつけたりしてしてやってはいますが、基本的には安全保障なんです。ですから安全保障理事会が強大な力をもっている。その常任理事国に日本がなるべきだという議論がある。入ることはいいとは思いますが、しかし私は安全保障は日本がリーダーシップをとる分野ではないと思います。安全保障はアメリカがリーダーシップをとってそのなかで日本ができるだけ協力をするという類のものだと思います。ところが地球環境というイシューに関してはアメリカは落第生なんですね。要するに地球を一番傷つけているのはアメリカのライフスタイルです。それがアメリカだけだったら地球環境はどうってことはなかったのですが、それがどんどん広まっていって、それが今や日本を含めて地球人口の2割ぐらいはこのライフスタイルになっています。それで地球がおかしくなってしまった。あと8割の人がこれと同じスタイルをとったら地球は絶対もちません。こういう問題はどうやって解決するかという仕組みは全然できていない。ですからそういうものを日本が音頭をとってどのように解決したらいいか、まず国際機構をどうしたらいいか、お金をどうしたらいいか、いろんなことがあると思いますが、そのなかで日本がリーダーシップをとっていくというのが私の持論です。短くまとめたもので、意を伝えれたどうかはわかりませんが。 Q6.アメリカ政治のなかにいた経験から申し上げますと、日本の議員を拝見していますと、非常に議員への負担が大きいというのではないかと思います。その無駄な負担をどのように減らし政策活動にどのように集中させてあげるかというような環境作りがまだまだだな、という印象を受けます。もちろん議員内閣制と大統領制の違いもありますから、いろいろ難しい点もあると思いますが、日本の大官僚機構にひとつのオルターナティヴとして政治家主導ということをいうのですが、もはや政治家個人の能力ではどうしようもない部分があります。ひとつは言い古されているとは思うのですが、議員のサポート制度として議員スタッフ制度をもう少し充実させたら良いのではないかということがあります。もちろんアメリカの議員もスーパーマンではないです。今日もハワイ州選出のダニエル・アカカ上院議員の主席報道官をされていた方と食事していたのですが、私が彼に聞いたのは上院議員は自分のステイトメント、スピーチを含めて自分で書いたことがあるかという質問をしたのですが、彼は一度も書いたことはない。C-SPANなどで丁丁発止とやっているものは全部スピーチライターが書いているし、では上院議員は全く無能なのかとうとそうでもない。先生が言われた「共生」などのようなメインアイディアは議員自身が出す。それに関して細かいリサーチをするスタッフを何十人も抱えている。最後はコミュニケーション担当のスタッフがまとめる。またIT担当のスタッフがウェブサイトに載せたりする。私は日本の選挙も手伝ったことがあるので、実際に感じたことですが、公費で雇われている政策専門のスタッフも選挙に借り出され地元の後援会対策などをやらされている。アメリカでは政策スタッフと選挙専門スタッフというのは明確に分かれている。日本でも政策スタッフが選挙に借り出されるようなことを防ぐためにもっと税金を投入するべきだし、国民からも文句は出ないと思います。私は日本において議員スタッフ制度の充実が今重要でないかと考えております。 A6.日本の場合は3人しか公費での政策秘書は認められておりません。アメリカとは桁が違います。こちらでは2桁にはのっているでしょう。3人では足りるわけがありません。足りない部分は地元、東京も含め自分で雇わなければならない。給料も払わなければならなく、そこにお金の話がでてきて汚職につながったりする。したがって人を雇うのに対して国から補助がもっとでればお金の心配をせずにすみ、これだけで全く政治は変わります。23年半議員をやっていましたが、どのようにお金を集めるかはずっと頭痛の種でした。おっしゃるとおり議員スタッフの充実はずっとポイントでしたが、それが進まなかった原因は、ずっと自民党体制だったことがあります。自民党はスタッフが欲しい。しかし万年野党の方はいらないのです。だから10人とか15人とか枠を決めても「何でも反対」の野党の場合にはいらないわけです。野党はスタッフの増加分の給料は親戚などをみんな秘書にして与えてしまうことになる。そういうことは2人、3人の時にもそのようなことは行われていた。いままで議員スタッフ拡充がほとんど進まなかったのはそういう理由もあるわけです。政権交代の可能性が出てくれば状況も変わると思います。そこで二大政党制にしようということになっていますが、まだそういう感じにはいたっていません。 Q7.日本の民主主義が未熟であるということが全ての問題の原点にあると思います。今日本は初めて自分たちの国のあり方を普通の人たちが悩む時期になってきているんだと思います。果たしてこれがすぐに政治の変換につながっていくのか、それともかなり時間がかかるのか。日本の転換点はいつ、どのように訪れるとお考えですか。 A7.世の中が大きく変化するというのは普通は戦争に負けるとか、革命が起こるとかいうときです。そいういうものでない状況の時に大きく変わるというのは難しい。残念なことですが人間いたい目に会わなければなかなか変わらない。したがって日本は今失業率が上がっていているとは言われていますが、現在は4.9%です。失業率だけをとると不況ではない。アメリカ人で日本に行った人も「どこが不況なのか」と驚いていました。私はもっと日本が不況にならないと変わらないと思います。だから私の持論としては、日本は当面の景気対策はしてはならない。そして失業した人は本人の責任だけではないですから、その痛みをみんなでそうやってシェアするかということを政治が考えなければならない。それが第一の課題。その次にはその失業者をまた吸収するための社会を作るかというのも政治の責任だと思います。一度そこまでいかないと国民の意識はかわらない。いままで改革、改革と言っておきながらずっと変わらないのは日本の国民一般のなかで「変えなきゃいけない」という意識が非常に足りないからです。そういう意識で選挙があっても誰を選ぶかをいうことも真剣に考えていないんですよ。遊び本位なんです。だから選ばれてくる政治家も危機感がないわけです。全体がそういう感じでまだ動いている。 Q8.基本的なご質問で恐縮ですが、日ごろ疑問に思っていることを質問させていただきます。アメリカでは政治家のスキャンダルは倫理委員会というところで議論されますが、日本では予算委員会で議論されます。それは先ほど先生がおっしゃったように日本では予算委員会というのがもう政治家が点数を稼げる場ではなくなってしまったから、そういう攻撃の場に使うようになったのか、それとも他に何か理由があるのでしょうか。 A8.野党の立場からいいますと、予算の成立を遅らせる、予算を人質にとるということが一番の点数になるわけです。だからなにがなんでも予算の審議を遅らせるようになる。それは与党の方が数は大きいわけですから、採決してしまったら必ず決まってしまうわけです。現在党首討論などが取り入れられていますが、そこで政策論争ではなくスキャンダルなどが議論されているわけですから全くむなしい思いをします。全ては予算形成の仕組みに問題があるような気がします。 Q9.予算編成が政治主導を阻んでいるというお話でしたが、これまで先生はいろんなところで発信なされていると思いますが、それに対する周りの方、他の議員の反応、それに対する先生自身の感触はいかがですか。 A9.私もいろいろ発信はしていますが、「そうだね」ということで話しが終わってしまうんですよね。だから憲法を変えるというようなことをしなければ本当の変化は起こせないと思います。他の人は現行制度を変えるよりそれに乗っかって行った方が楽だし、政治家として生き残っていくためにはそうしていたほうがいいんです。だから私の話に耳を傾ける人はいてもまとまった動きにはならないというのが現実ですね。 Q10.どういう国にしたらいいかという目標を掲げなければならないというお話ですが、それはとても高尚なお話だと思うのですが、実際選挙活動をしているときは具体的にどういうメリットを有権者に返せるのかということが重要になってくると思うんです。しかし今やインターネットなどの普及などで政治家と一般の国民と間でもう少し狭い利益ではなくて国の理想とかという次元の話を双方でコミュニケートできることが可能になってきたと思うんですけど、いかがでしょうか。 A10.去年の6月の選挙では私は環境問題を中心に掲げ全て環境問題でやったんですよ。全然有権者にアピールしなかった。それで結果がああなってしまった。選挙のやり方がまずかったとかいろんなこともあるのですが、それが票につながらなかったというのがものすごい挫折感がありました。結局地球環境の話しというのは、先ほども言いましたが、それで日本が国際社会でどういう役割をするかというのは、国民の日常生活には関係ないんですよね。特に地球環境の話しというのは我々の次の世代の話しなんですよ。だから理屈ではそうなんですけど、結果的に“今”の話しになってしまう。あと、現実にはまだまだ限られたツールでやっていますのでなかなか有権者に伝わらない部分があったということはあると思います。インターネットの普及などでそういうことが乗り越えられることを期待したいのですが、日本はまだ時間がかかるでしょうね。 Q11.政策秘書の話を愛知先生がされたのでひとつ付け加えておきますが、愛知先生は何人か本当に純粋な政策秘書をもってらっしゃった。そう言う人は珍しいんですね。政策秘書は政策担当に使っていないというのは多いんですね。愛知先生のところで政策秘書をやっておられたなかに桜田さんという有名な論客でいろんな雑誌に書いてらっしゃる方がおられます。彼は本当に政策だけをやっていたことを知っています。ですから愛知先生が政策秘書の拡充のお話をされていらっしゃるのは本当に心強い。議員スタッフ、委員会スタッフの拡充があってこそ、例えばシンクタンクとか他のコミュニティーとつながっていくと思いますし、愛知先生など政治家をやられていて辞めた方などがアドヴァイザーとして働く場所としてできてくれば良いと思います。その点を含めシンクタンクの役割についてお考えになっていることがあればお聞かせ下さい。 A11.日本から出てくるために、日本にも本当の意味のシンクタンクがなければいけないのではないかと思って何人かに意見を聞いたりしたのですが、こっちに来てから非常にその思いを強くしました。今おっしゃったようにいきなりシンクタンクを作るというのは難しいですね。つくっても機能しないと仕方ありませんしね。しかし日本にシンクタンクが出きるべきだという強い思いはあります。 それから桜田という私の政策秘書をやっていたものをご紹介していただきましたが、彼は生まれつき脳性小児麻痺の人物で、鉛筆をもって字を書けないんですが、ワープロができたので自分の意志を表すことができています。とても苦労して、東大に佐々木毅さんという政治学の先生がいて、彼から「実はこういう人物がいるんだけど秘書にしてくれないか」ということで、会ってみてびっくりしたんですけど、従来の秘書の感覚ではとっても使えない。しかしいろいろ話しをしていると感心してしまったので、「やってみなさい」ということになって政策秘書になりました。今そうやって彼が世に出て活躍しているのは、障害者が立派に活躍できる社会にしたいという思いと重なってうれしく思っています。 Q12.ひとつ日本政治について疑問に思ったことがあるのですが、愛知先生は自民党党改革本部長というのをなされていたんですが、外からみていると自民党がほとんど変わらないというイメージがあります。変わるとなるとある意味今までの票を否定することになってしまう。どういうふうに当時は自民党は変わろうと思っていたのか、それと果たして自民党は変われるのか、その点についてご意見をお聞かせ下さい。 A12.党改革本部長になりまして党改革案というのを作ったわけです。あんまり現実離れしても仕方ありませんし、いろいろ議論をした末にまあまあ現実味があるものにしました。しかし、一番最初に議論したかったのが自由民主党という名前を変えたかったんです。もともと自由民主主義というイデオロギーを掲げた政党だったから自由民主党という名前にしたのです。ところが自由民主主義を否定した政党というのはいまや共産党だけになってしまった。そのなかで自由民主主義といっても党のアイデンティティがはっきりしないから、党の名前を変えようといったらみんな大反対にあってだめになってしまいました。仕方ないからということで、党の組織の話になって、私は党があまりにも日常のことで明け暮れているので、もっと長期的戦略、選挙戦略を立てれるような組織、“総合戦略局”みたいなものををつくること提案したんです。その他に総裁選挙をどうやってより民主的にやるかということを議論したりしました。そのなかでひとつかふたつでも実現すればずいぶん変わったと思います。しかしその答申を当時の小渕総理に提出し、森さんが幹事長でしたが、結局なんにも実行されなかった。小渕さんが亡くなったりして政治がごたごたしていましたから、責任を個人に追及することはできませんが。しかし党改革本部長というのは過去何人もいて何回も何回も答申を出しているんです。中身は結構いいことが書いてあるんですが、なにも実施されてこなかった。結局実施できないというところに問題がありまして、党改革実施本部長というものを作って総裁自らがそのポストに就き改革を進めるといったことを提案したりもしました。結局それも聞き入れられずそのままになってしまいました。それが現実です。 冒頭にも言いましたが自民党にはもう将来はないと思っているんです。自由民主党というアイデンティティはもうなくなってしまっている。そこでじゃ変わりに何にするかとうことも党では議論されていないですし。そこでそういうふうなことを議論するまえにどうことが起きるかというと、「ま、とにかく政権についていることだ」ということで一時野党に10ヶ月ぐらいいましたが、社会党の委員長を総理にして無理やり政権に戻ってしまった。これが実態です。いまや自民党は政権についているというだけが党のアイデンティティになってしまっている。党としてのポリシーなんてないんですよ。これが今度の選挙の結果野党になったら必ず崩壊します。ですから自民党の将来はないと断言してもいいんじゃないですか。もうひとつ加えますと、民主党というもがありますが、民主党のアイデンティティというのは「反自民」なんですね。それだけなんです。右から左まで幅広い人が一緒になって肝心なことが党として決めれない。例えば国旗・国歌の法案も大事な法案でしたが、党として方針が決めれなかった。なぜかというと反自民ということしかなかったからです。自民党が崩壊したら必ず民主党も崩壊しますよ。だから両方一度解体してしまってごちゃごちゃになった方がいいんですね。私はそう思っている。 |
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