PRANJワークショップ記録
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2001年6月 5日 PRANJワークショップ 「情報公開法とはなにか―日米の比較を通して」 (つづき) CSIS戦略国際問題研究所 (ワシントンDC)
ジョージタウン大学 客員研究員 右崎正博氏 質疑応答 Q:アメリカの法律については、企業による開示請求が多いというお話ですが、個人が請求するには費用がかかるので、それが個人の開示請求の妨げになっているのではないでしょうか。また、ジャーナリストに対しては無料で情報を開示してくれるのですが、開示に時間がかかるため、記事を書くデッドラインがあることを考えるとあまり役に立たなかったりします。そのような点に関して日本の法律は、どうなっているのでしょうか。 A: 費用については、現在の情報自由法では次のようになっています。開示請求しますと、その情報を検索するための「検索手数料」と、探し出された情報が適用除外に該当するか否かを審査するための「審査手数料」がかかります。これらは、請求を処理するために何時間かかったかを基にして時間当たりで課せられます。また、コピーを求めると「複写実費」が徴収されます。このように、費用の計算は3段階になっています。ただし、研究や報道目的での請求や公益目的での請求の場合には、申告により大幅に手数料が減免されます。報道機関などは実質的にはほとんど取られていないようです。法律の建前では、一般の人が公益目的で請求する場合、最初の2時間の検索費用とコピー100頁までは無料で、それを上回るものについて手数料が取られることになっていますが、日本の新聞記者に聞いたところでは、請求書が送付されるまでは支払わないで下さいという通知があり、その後、請求書は送られてこないということです。実際にはほとんど免除されていると考えてよいと思います。一般の人の場合には、公益目的に使うことを証明する書類を添えれば、比較的簡単に減免が認められると聞いています。 日本の法律ではどうかというと、まず請求するのに手数料が必要とされています。それにコピーを求めると複写費用がかかります。「請求手数料」と「複写費用」の2段階です。請求手数料は請求するときに払いますから、当該請求について不開示の決定がなされても手数料は返還されません。これはひどいという話もありますが、自治体に対する請求の濫発のようなものが実際にあったことがその理由とされています。東京都などで大量の情報を請求しながら、開示するとなったときに閲覧にも来ないようなケースがあったということです。改正前の都条例では、開示を受ける際に閲覧手数料を徴収するという仕組みであったため、手数料の請求が宙に浮いてしまったという話が伝えられています。そのため、東京都では改正条例によって情報公開法と同じ仕組みをとりました。もっとも、自治体で請求手数料を要求しているところは、東京都や静岡県など2、3の自治体にとどまっています。請求段階での手数料は国も都も300円としています。ただし、請求手数料を払った人はコピー15枚までは無料、15枚を超える分について1枚20円という仕組みになっています。また、請求手数料は文書1件ごとに求められますが、関連する文書はできるだけまとめて1件という数え方をするように決められています。しかし、多くの自治体では、閲覧は無料、コピーは1枚10円です。 アメリカでは請求に対する応答期限が最初10日以内であったのが、96年改正で20日以内に改められました。日本の場合は30日以内で30日間まで延長ができるとされています。確かにジャーナリストなど即時的な回答がほしい人たちにとっては限界があるかも知れません。韓国の情報公開法では、14日以内に応答と定められていますが、運用では即日開示という決定が半数を占めています。このような運用ができれば情報公開法の利用価値も高まると思いますが、その点は改善を求めていく以外にはないと思います。また、調査報道の手法には大いに利用価値があると思いますので、そのような利用も期待されます。
Q:日本では、頻繁に請求があったものはインターネットに載せる、というようなことはあるのですか? A: 法律はまだそこまでは義務づけていません。電磁的記録の扱いについては政令で対応するとしています。つまり、インフラ整備がまだ十分できていないという認識です。ただ、東京都などには「閲覧室」が設置されていました、請求があり開示されたものについては、閲覧室にファイルが設置されて、請求をしなくても誰もが閲覧できるようになっています。「リーディング・ルーム」方式です。各省庁もそういう方法をとることが期待されます。インターネットでそのような措置がとられるようになるには、もう少し時間が必要と思われます。 電磁的記録については電磁的形態で開示をするということが、施行規則で決められています。ただ、その電磁的な記録の形態については、行政機関が採用している処理形態で開示すればよいということになっており、請求者が求める処理方式によらなくてもよいとされています。つまり、特殊なコンピュータを使っている人が自分の機械で読めるような形態で開示してほしいといっても無理な話ですから、そういう要求には応じなくてもよいということです。いま一番ポピュラーな処理形態、たとえばDOS-V方式でテキスト形式のファイルで開示できれば、それほど問題はないと思われます。アメリカでも日本でも、各省庁のホームページには、アクロバット・リーダーで読めるものと、テキスト・ファイル形式のものとがあります。後者の形で提供された方が加工し易いという利点はあるようです。
Q:アメリカでは、政府情報が開かれている一方で、個人情報も開かれている気がします。日本の場合は、個人情報が開かれていまして、逆に政府情報が守られている気がします。他方で、EUは個人情報の保護がよく進んでいます。そこでEUの政府情報の公開は進んでいるのか、教えていただければと思います。もう1点は、戦時中の日本軍の米兵捕虜に対する強制労働問題の文書公開プロジェクトに関して、これは元々大統領令で開示の適用除外となったものを誰かが開示請求をして、クリントン大統領が開示を決めた、という認識でよろしいのでしょうか。 A: EUの情報公開の動きについては、まだ検討の最終段階だと思います。イギリスも遅れていましたが、情報自由法案が国会に提出されるところまで来ています。フランスは情報公開法に相当するものをすでに持っています。ドイツの場合は環境情報に限定しています。EU諸国では、最終的にはEUが勧告を出して、加盟各国がそれに応じて取り組みをするということになると思われます。EUでは、個人情報の保護について、情報公開よりも取り組みが進んでいます。 個人情報の保護について、日本は遅れているのではないかということですが、おっしゃるとおりだと思います。実は現在「個人情報の保護に関する法律案」が国会に提出されていますが、全然審議がなされていないということです。ただ、継続審査扱いされるのは確実なので、秋の臨時国会には成立するだろうと思います。この法律は、個人情報の取扱について基本原則を定めるとともに、民間部門で個人情報を扱う者を「個人情報取扱事業者」と呼び、OECDの個人情報8原則などを踏まえた、一定事項を義務づけるものです。その義務規定には、個人からの請求に応じて当該個人の情報を開示したり、あるいは間違っていた場合には訂正や削除を義務づけたり、外部提供や目的外利用の中止請求に応じなければならないことなどを規定しています。報道機関や研究機関、政治団体や宗教団体などに対しては一定の例外が定められていますが、それ以外の民間企業に対しては非常に厳しい個人情報の保護義務を課しています。 そうしますと、残されるのは公共部門ということになりますが、1988年に制定された「行政機関が保有する電子計算機処理された個人情報の保護に関する法律」という法律があります。しかしこの法律は、個人情報保護法というよりも電算機処理法のようなもので、個人の権利を保護するという観点からは非常に無力な法律のため、この法律の全面的な見直しが求められています。この法律を「行政機関が保有する個人情報の保護に関する法律」として抜本的に作り直すための検討が行われています(その後、2002年3月15日に法律案が国会に提出されました)。個人情報保護法は、基本法としての位置づけをもち、その下に民間部門に適用される個別法と、行政機関に適用される行政機関個人情報保護法を制定する予定です。あと2年くらいしたら、個人情報保護のための法制の全体的な枠組みが完成するというところまできました。 情報自由法552条(b)(1)項は、「防衛・外交に関し大統領によって適式に秘密指定されたものは情報自由法の適用を除外される」旨を定めています。そういう法律の下で、国家安全情報に関する大統領命令が発せられてきています。この制度は、法律よりも古い歴史があり、アイゼンハワー大統領のときからあります。当初は軍事目的のために一定の情報について「Confidential」「Secret」「Top Secret」という表示をして秘密保護の根拠とされてきたものです。ところが情報自由法が成立したため、それと調整する必要がでてきました。その結果、大統領命令に従って秘密指定されたものについては公開原則を適用しナイト定められました。ウォーターゲート事件後、カーター大統領の大統領命令によってかなり限定的な扱いがなされましたが、レーガン大統領の時代になるとまた緩やかに秘密扱いを認めるものにされました。カーター大統領命令の下では、「どの秘密ランクに位置づけるか判断に迷うような場合は、低いランクに指定にしなさい」「秘密指定するかどうか迷うような場合は、秘密指定しないようにしなさい」、このような扱いを定めていましたが、レーガン大統領の時代になると、「どのランクに秘密指定するか判断に迷う場合は、高いランクに秘密指定しなさい」「秘密に指定するかどうか迷うような場合には、とにかくまず秘密指定しなさい」と、書き換えられています。その後、クリントン大統領になってから、94年にまた新しい大統領命令によって公開優先に転換されました。それを受けたリノ司法長官のメモランダムも出されています。 こういう変化のなかで、変わっていないのがケネディ大統領のときに作られた「秘密指定自動解除制度」です。これは、秘密指定から一定年限経過後に自動的に秘密ランクを格下げしていき、最終的には秘密指定を自動的に解除するというシステムです。現在も原則10年以内の秘密指定解除が定められています。日本でも30年ルールがありますが、30年の間ずっと秘密のままです。アメリカの場合は、秘密保護の必要性が見直されて、その必要性がないと判断されれば、その時点で秘密指定が解除されて公開の対象になります。政府情報へのアクセスという点で、日本よりも格段に進んでいる。ご紹介のあった戦争中の日本軍による米軍捕虜の強制労働の問題ということですが、この事例も、多分そのような手続きを通して開示されたものだと思います。
Q:アメリカにおいてはナショナル・セキュリティ(国の安全)を守るということがはっきりしています。これが日本の場合は、公務員法くらいしかありません。これのあるなしが情報公開に与える影響を教えていただければ、と思います。また、日本でこれからアメリカのような機密保持の条項を制定することが情報公開の上でもプラスになるのか、教えていただければと思います。 A: これはかなり議論のあるところでして、アメリカでも、現在大統領命令でやっていることを法律化しようという議論があります。大統領命令に任せておくと、大統領が変わるたびに厳しくなったり緩くなったりして、どうも落ち着きが悪い。それだったら、法律にして誰の目にも分かりやすいようにするべきではないか、という議論です。これは論理的には筋が通っていますが、法律で決めるということは、ある種の情報をそれ自体機密として保護するということになります。そうすると、情報公開のためにそのような法律を制定するとしても、その法律は公開を禁じるための法律になります。アメリカは、イギリスと違って「公務秘密法」を持っていないということを誇りにしてきましたので、これまで何度か議論にはなりましたが、いまだにそのような法律は制定していません。 スパイ防止の問題につきましては、アメリカには防諜法(Espionage Act of 1918)がありますが、これは公務秘密法とは違います。軍事的事項に限り戦時に敵国を利するような機密漏洩行為を処罰するための法律です。死刑まで規定していますから、それだけの限定がついているわけです。しかし、この法律は、ベトナム戦史研究のペンタゴン・ペイパーの漏洩に関わったエルズバーグ(Daniel Ellsberg)事件のときに発動されて問題になっています。ランド・コーポレイションの研究員としてベトナム戦史研究に携わっていた彼が、その研究に関するペンタゴン秘密文書を漏洩し、ニューヨーク・タイムズやワシントン・ポストなどが連載し、政府が記事公表の差し止めを求める訴えを提起しました。その際にニクソン大統領が秘密文書の公表差し止めを求める根拠とされたのが、防諜法です。この法律は、権限なき秘密情報の漏洩などを処罰する規定を持っています。しかし、漏洩された情報の公開を差し止める権限を政府に認める規定はありません。そのため、連邦最高裁でも意見も分かれましたが、多数意見は、防諜法は政府が記事の公表差し止めを求める根拠にはならないということでした。 当のエルズバーグは防諜法違反で起訴されましたが、防諜法違反に当たるか否かが問題となりました。法律は、合衆国の利益を害する目的で秘密情報を漏洩したり、売り渡したりすることを禁止していましたが、彼の主観的な意図としては、合衆国の利益を害するためではなく、その利益を促進することにありました。そうすると、こういうケースに防諜法が適用できるかどうか、大きな問題なわけです。学説も二分しました。憲法学者の何人かは、防諜法を善意の者に対して適用することはできないという意見でした。しかし、この事件が裁判所に係属中に、ウォーターゲート事件の侵入犯たちがエルズバーグの精神分析医の事務所にも押し入り、カルテを持ち出していたことが明るみに出て、政府側が起訴を取り下げざるを得ませんでした。ですから、防諜法がエルズバーグのようなケースにまで拡張的に適用できるか否かは、司法的には決着がつかないまま中途で終わっています。以後、同じようなケースは出てきていません。
Q:アメリカの場合は、セキュリティ・クリアランスを通ったものだけが機密情報にアクセスできる仕組みになっていますね。 A: その通りです。その仕組みはずいぶん前に作られています。しかし、問題なのは、政府の都合によってしばしば機密情報がリークされ、世論操作的に使われることです。政府高官による情報のリークは前から問題になってきましたが、不用意なリークがありすぎるというので、「リーク禁止法」を制定する動きが連邦議会にありました。昨年の11月に連邦議会で可決されましたが、クリントン大統領が拒否権を行使し、かろうじて成立には至りませんでした。報道機関や市民団体の間では評判が悪く、報道の自由を制約するものだとの社説がワシントン・ポストにも載りました。クリントン大統領は反対しましたが、リーク問題で頭を悩ませていたリノ司法長官は賛成の立場をとるなど、政権内の足並みの乱れもあったようです。リークそれ自体が許されないという見方もあるのですが、国民に有用な情報が伝えられるという側面もありますから、むしろ許容されるという考え方もあります。
Q:日本でも機密保護法の制定、あるいはセキュリティ・クリアランス・システムのようなものを導入すれば、逆に情報開示は進むのではないでしょうか。 A: 日本では80年代半ばに「スパイ行為防止のための国家秘密保護法案」が国会に提出されて、ずいぶん議論になりました。国の安全に関わる外交・防衛上の「機密情報」を「スパイ行為」から保護するというのですが、「国家機密」とされる範囲が曖昧かつ広範に設定されていたこと、しかも、違反に対して死刑まで規定していたために問題になりました。その法案で死刑をもって禁止される対象となる行為は、機密情報を「外国に通報する」行為でした。この「外国への通報」の意味が問われましたが、提案者は「外国が知り得る状態に置くこと」などと説明し、それでは報道機関の報道などがみな含まれるのでないかと批判を受けました。その結果、報道機関が熱心に反対の論陣を張りましたので、廃案となりました。現在もそのような法律を制定しようという主張はありますが、今すぐにそれが成立する状況にはないと思います(その後、2001年9月11日の同時多発テロ事件を契機として、アメリカの対テロ戦争支援を内容とする「テロ対策特別措置法」が制定されましたが、同時に行われた自衛隊法改正によって、かつての「国家秘密保護法案」のうち外交秘密を除いた「防衛秘密」にかかる部分の一部が法律として成立しています)。 情報公開が施行されてみると、行政機関の長の裁量に委ねられた部分があり、長の判断を透明にし、客観的なものにするために、政令を制定して対応しようとしています。しかし、政令ですとまだ行政機関の長の裁量が強く働きます。そうしますと、行政機関の長の判断により、情報が開示されたり開示されなかったりします。そこをよりクリアーにするために法律で定めるべきではないかという議論はあり得ます。しかし、そういう議論を突き詰めていきますと、一定の情報を秘密として保護するという法律になる、つまり、国家秘密保護法を生み出すことになります。ですから、機密保護を法律で決めることが最善の方法であるという合意はまだ成立していないと思います。
Q:情報公開法が整備されるなかで、公開の前提として、文書の整理自体がそもそもきちんとされていなかった、ということがあると思います。情報公開法により文書の適正管理が定められましたが、アメリカでは、行政文書がどのような形で管理されていて、そもそも情報公開請求のきっかけとしてどういうファイルが存在するのか、それがそもそもどういうふうに公開されているのか、その制度がどうなっているかを教えていただけないでしょうか。 A: 連邦レベルでは、連邦記録法(Federal Record Act; FRA)と連邦記録処分法(Records Disposal Act)という2つの法律があり、それによって文書の作成、管理・保管、処分のすべてが法律レベルの事項として処理されています。また、1995年にペーパーワーク削減法(Paperwork Reduction Act)という法律が作られています。基本的にはこの3つの法律によって文書の作成から廃棄までのサイクルが管理されています。記録法では、どういうときにどのような記録を作成しなければならないか、また、どこでどのように管理・保管すべきか、処分法では、どういう要件を満たした場合に誰の責任の下に記録を廃棄してよいか、ということが決められています。ペーパー削減法は、紙の記録をできるだけ削減し、コンピュータにより記録を管理しなさいということがいわれています。そういう仕組みを前提として、情報自由法による開示請求権の保障が生かされることになります。もっとも、例えばかつて大統領補佐官を務め、一時期、大統領補佐官と国務長官とを兼任し、後に補佐官を離れたキッシンジャー氏が国務長官を退いた後、彼の電話での会話録の公開の可否が問題となったケースがあります。彼はその記録を国務省から持ち出し、フォード財団が所有する建物に移し、最終的には国会図書館に寄託しています。しかし、国会図書館に寄託する際に、自分の死後50年間は自分が文書で許可した者以外には記録を見せてはいけないという約束を盛り込みました。その後、国務省文書を彼が違法に持ち出したのではないかとして問題になりました。連邦記録法は、もし政府から記録が違法に持ち出されたという場合には司法長官が告発し、返還を求めるという手続が定められています。返還されれば、あとは適用除外に該当しない限り、開示されることになります。しかし、キッシンジャー氏のケースでは、司法省が告発しないまま終わりました。そこで、国民が彼の会話記録に何らかの権利利益を主張できるかということが問題となったわけですが、連邦最高裁もそこまでは認めませんでした。しかしながら、このような法律が存在するということは、連邦の記録類への国民のアクセスを確保するという点で、重要な意味をもっていると思います。 日本の場合には、文書管理がこれまで文書管理規程という形で定められてきました。規程という形式は、訓令の一種であると考えられています。訓令というのは、職務上、上位にある者が下位の者に対して命令するために発するもので、行政機関の内部だけで通用力を認められるもの、つまり、国民との関係で権利義務関係を発生させるものではないと解されてきました。そういう法形式によって文書管理がなされてきており、そして、そういう法形式により「機密」「秘」「取扱注意」の指定もなされてきていました。そのため、政府が保有する文書について国民が何の権利も主張できなかったのです。情報公開法の制定により「組織共用文書」はすべて開示対象となると定められましたから、文書管理規程に則って正式の「公文書」として扱われているかどうかは問題としない。行政機関が組織的に用いているものかどうかだけが問題となるわけです。「組織的に」というのは、職員が個人的な覚書として作成したメモのようなものを除いてという意味です。職員間で職務上やり取りされるような文書は、正式な「公文書」であろうが無かろうが、すべて対象になるという仕組みです。文書管理については政令で基準となる事項を定め、それに基づいて各省庁で規程を整備することになります。法律によってはいませんが、政令で定められることになったのは半歩前進と評価してよいと思います。 アメリカの法制度を調べていて本当にうらやましいのは、あらゆる記録が実に詳細に残されていることです。例えば、いま調査研究のため、FOIAの制定過程を調べているのですが、1966年情報自由法が、50年代半ばから議論されていて、最終的に法律が出来るまでに50を超えるような法案が審議されています。その過程で提出されたあらゆる法案が、マイクロフィシュの形で利用できるように記録が整備されています。公の記録に対する国民性の違いを痛感させられます。このような法文化が情報自由法を支える土壌になっているのではないかと思います。
〔あとがき 2002年6月5日〕 PRANJワークショップで話をする機会を与えられてから間もなく一年が経過しようとしています。帰国後の多忙にまぎれて、整理が遅れましたことをお詫びしなければなりません。情報公開法は施行1年を経過しましたが、その概要が総務省のホームページに掲載されていますから(http://www.mha.go.jp/)、ご覧いただきたいと思います。「報道発表資料」の4月11日の欄を見てください。また、4月19日付けの読売新聞が特集記事を掲載していますから、あわせて参照してください。 |
文責 大林一彦氏(ありがとうございました)
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