PRANJワークショップ記録

民主党 政調会長 岡田克也議員 「民主党の政策について」

2001年8月15日 CSIS戦略国際問題研究所 (ワシントンDC)

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民主党 政調会長 岡田克也氏

私のプロフィールで特徴的なのは、1990年から当選4回ですが、当選のたびに党の名前が違うということです。最初が自民、それから新生、新進、民主で、これを、ふらふらしていると思う方もいるかもしれませんが、むしろわたしの一貫性を示すものであると思っています。自民党に入って、日本をよくしていきたいと思い、政治改革にも取り組みましたが、結局自民党はこのままではだめだと思い見切りをつけ、小沢さんや羽田さん渡部さんなどと一緒に新生党を作りました。これが、他の政党と一緒になって、新進党という、野党第1党になった。細川政権のときの与党だった人たちが作った党であり、これが大きく成長すれば良かったのですが、マネージメントの問題や小沢さんの性格など問題もあり、解散になってしまい、そんな中で新しい民主党を3年前に立ち上げることとなりました。

私は、自民党を離れてからは、一貫して2大政党制、つまり政権交代のできる政治を目指してきました。順調にいけばもっと早く政界にも競争原理を持ち込むことができたと思うのですが、それが順調にいかなかったのは残念なことです。ただし、今の民主党で、次の衆議院選挙で政権を執るのは十分可能だと思っており、現在そのために努力しているところです。


さて、政策についてですが、小泉さんが総理になって、国民的人気が高く、一種異様なくらいだと思えますが、これは民主党にとっては非常に大きなチャンスだと思っています。彼があれだけ支持を得ているということは、有権者が自民党にさよならを言い、自民党の中で党内野党とも言える小泉さんにかけてみよう、それで自民党が変わるなら自民党を支持しよう、というメッセージだと思っています。逆に言うと、小泉さんになったことによって、自民党が変わる、政治が変わるというのでなければ、支持は維持されていかないということであり、そうなれば本当に政権交代の時期が来る、と思っています。そういう意味で、次の選挙はチャンスなのです。しかし、反省すべき点は、これだけ小泉さんに国民の支持があるということは、それだけ、前の森さん、小渕さん時代に不満がたまっており、その不満を、野党第1党である民主党が受け入れられなかったということです。森政権の支持率がどんどん下がっていく中で、民主党の支持率が反比例的に上がるということにはならなかった。そういう意味では、我々に魅力がなかった、代わりに政党を取らせるだけの政党になっていないと受け止められていたということであり、反省しなければなりません。

民主党の宣伝をしますと、野党第1党でありますが、平均年齢が非常に若いというのが特徴です。自民党より10歳くらい若くて、50歳くらいです。初当選した人の平均年齢は40歳そこそこくらいで、非常に若い政党であるといえます。また、都市部に強く、若い人に支持されています。逆に言えば、高齢者には非常に弱い、ということですが。70歳以上の方で、なんと言っても自民党しかないという層が存在するのは事実で、それは戦中・戦前の教育を受けた人にとっては仕方がないのかな、と党内でも話しているところです。もうひとつ、民主党の課題は、女性の支持率がとても低いということです。大体、世論調査などすると、男性の支持率が15%の時に女性の支持率が8%くらいと、半分くらいしかないのが普通です。それがなぜかということについては、また皆さんのご意見も聞かせていただきたいと思います。民主党の女性議員から言わせれば、民主党の男性議員に魅力がないからだ、ということでした。民主党の女性議員の方に魅力がないのでは、と思ったりもするのですが、それはいいませんでした(笑)。また、野党というのはそういうものだ、と言う説もあります。以前韓国の政治家と話したとき、野党時代は女性の支持率が低かったけれども、与党になった途端にぐんと上がった、ということを聞きました。

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今議論されているのは、民主党の理念を再構築した方がいいだろう、ということです。民主党を作ったときは、市場原理主義でもなく福祉万能主義でもない、民主中道の道を行くという決定をしたのですが、これはいい加減な言い方で、市場原理主義がいいという政党もなければ、福祉万能主義がいいという人もいないので、ほとんど何も言っていないに等しい。この理念を再構築しようということで、党の中でも議論をしているところです。ヨーロッパのイギリス労働党やドイツ社民党など、そしてアメリカの民主党等とも連携をしながら、そういった議論をしていかなければならないと思っています。イギリス労働党のブレア首相は、市場主義と社会的公正のバランスだ、という言い方をしていますが、つまりは、強い経済を作ることと社会的公正の両立が民主党の基本理念である、と考えています。なんだかんだ言っても、経済がしっかりしていないと(国は)うまく成り立っていきません。競争政策を中心に日本の経済あるいは産業を再生させるのは大きな目標であると思っています。しかし、同時に、競争政策を追求した結果出てくる、所得格差や機会の平等などに関する格差の是正も重要です。また、いまだに7〜8割の日本人は自分を中間階級だと考えているとされていますが、この中間層の重視を基本理念にしながら政策を考えていくべきではないか、と考えています。この辺については、もっと党の中でも議論し、コンセンサスを得たいと考えているところです。


我々の活動について、わたしは、政策面では自民党より上を行っていると自負しています。例えば、法律を考えると、今通常国会を見ても、政府・与党の法律が
120本くらいありましたが、そのうちの100本は政府が作った、つまり官僚が作った法律で、与党自身が作った法律は数本に過ぎない。それに対して、民主党が国会に出した法律は53本で、そのほかにもあともう少しのところまでいったものが30本くらいありました。今までの野党は何でも反対していればいいという感じがありましたが、我々は、それぞれの議員が自分のテーマを持って、法律の形にして国会に出すというところに至っています。そういう意味では、いろいろな政策が出揃ってきていると言えます。ただ現実として、日本の国会の制度の問題で、議員が出した法律がまともに審議されることがありません。ほとんどが「つるし」(審議が実質的に保留にして進めないこと)になって、会期末に廃案になるか継続審議になるかです。野党が出した議員立法で議論されるのは、それに対応する似たような法律が政府から出されている稀な場合ですが、それも国会対策上のテクニックを使ってようやく可能になるものです。基本的には、野党提出の法案はまったく議論されません。国会議員が作った法案を国会で議論しないのは当たり前だ、という常識はおかしいわけで、これはきちんと正面から議論して、議員立法について、例えば少なくとも1日は時間をとって議論する、というルールを作っていきたいと思っています。我々は議論されることを前提に、想定問答を作るなど、かなり詰めた議論をしてきており、当然相手方の質問にも対応できるようにしているので、そういう議論をぜひ今度の国会ではやっていきたいと思っています。

個々の政策についてですが、小泉さんの政策と比較すると、いろいろありますが、かなり民主党の政策と近いと言えます。まねされた、とさえ思っているのですが(笑)。本当いうと、竹中平蔵(経済財政担当大臣)も、入閣直前まで民主党の会議に出てもらったりしていたのです。あまり「政策が近い」と言いすぎない方がいいという意見もありますが、実際近いものは近い。例えば、今通常国会の法律も、民主党は半分以上賛成しています。野党だからといって、何でも反対するわけではありません。だから、小泉政権が、改革を具体的な法案にして出してくるものについて、一つ一つ吟味しながら、合うものについてはどんどん賛成していけばいい、と考えています。もちろん全て賛成できるとは思えませんが、頭から反対という必要はありません。

小泉さんの所信表明演説の中でいくつか大事なことが言われていましたが、その中の一つに、不良債権の処理を2,3年で行う、というものがあります。これはまさしく民主党がかねてから強調してきたことであり、小泉さんの政策を評価します。ただ、小泉さんのいう不良債権は範囲が狭く、我々は、その何倍もの不良債権があると見ています。例えば、去年実際に倒産した企業の倒産前の分類をみると、半分くらいが正常債権と要注意債権に分類されており、分類自体が相当いい加減だったと思っています。また、最近自民党は、中小企業に対する不良債権は急いで処理しない、と言い始めており、不良債権の範囲がますます狭まってしまっています。我々も政治家です。参院選の時に、中小企業者の方がたくさんいるところで、我々は不良債権の処理を急ぐんだと言えば、みんな下を向いて元気がなくなってしまう。民主党が勝ったら、自分たちはつぶされるのかと思われてしまう。そういう中でも、鳩山さんは最後まで不良債権処理を言い続けたので、すごい人だなと思いました。しかし、それは実行していくということでなければ、結局従来と同じことになってしまうと思います。もちろん、経済のマイナス成長が予想される中で、どこまでやれるのかという問題はありますが、我々はそういう風に考えています。

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財政政策についてですが、小泉さんが言っているのは、今までのように需要不足を財政で補うような政策は採らないということで、これも重要なことだと思います。構造改革なくして景気回復なし、という言葉も使われました。我々も、財政の現状に対して非常に懸念を持っているので、財政の立て直しを明言されたことについては評価します。来年度の国債の発行を
30兆で抑える、と言うことにも賛成しましたし、我々からそういった法案を国会に出したりもしました。わたしも予算委員会で申し上げましたが、需要不足を公共事業などの財政支出で補うことを否定したということは、これまでの森政権の考え方を180度転換した、ということで、民主党の考え方に近くなっています。しかし、現実にこれだけ景気が悪くなっている中で、補正予算は当然もう政治日程に上がってきていて、この内容をどうするかという課題があります。補正が必要ないとは思いません。例えば、不良債権の処理をしていく中で、雇用保険の基盤を安定させるといったようなことは必要だと思いますが、補正で公共事業を追加することになるのであれば、従来とまったく変わらないということになってしまいます。非常に政治的には難しいところで、小泉さんがどのくらいやりきれるのか疑問を持っているところです。


次に、外交政策ですが、小泉さんの外交政策は不可、
ABCで評価すれば、EFだと思います。これまで、小泉さんがあまり外交についてやってこなかったということでしょう。特に、政治家を30年近くやっていて、中国に一度しか行ったことがないという事実を見るだけでも、彼の姿勢を表していると思います。外務大臣も、勘がいい方なので、その場その場はうまくやられますが、ポリシーはないと思っています。そんな中で、靖国神社参拝の問題が出てきた。これには民主党は反対です。小泉さんは行ってから説明する、理解を求める、と言っておりますが、驚くべき態度だと思います。とにかく、日韓、日中はこれから相当大変だと思います。特に日韓を見れば、金大中大統領が日本にやってきて、日韓関係もいろいろあったが、1500年の歴史の中ではいいこともあったので未来志向で行こう、と割り切ったにもかかわらず、こういうことをして、話をなしにしてしまったので、これからいろいろ大変です。もう一つ、アメリカに対しては、ブッシュに会って非常に意気投合したと報道されていますが、彼は中曽根康弘元首相に似ていて、党内の基盤が弱い中で、国民の高い支持と、アメリカのバックアップ、特にブッシュとの個人的な関係を保持することで自民党を抑えていくことを目指しています。逆に言うと、ブッシュに対して率直にものを言えない、対立できない、ということです。京都議定書にしても、ミサイル防衛、対中政策にしても、そのような感じがあります。

以上が、わたしが申し上げたいことです。

 

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文責 庄崎未果氏 (ありがとうございました)

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