PRANJワークショップ記録
民主党 政調会長 岡田克也議員 「民主党の政策について」 Q&Aセッション 2001年8月15日 CSIS戦略国際問題研究所 (ワシントンDC) |
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Q1:民主党は、政策に強いが選挙になると政権を握るところまでいたらないとおっしゃられましたが、そのことについて、自民党は独自に政策能力をもっているというよりは、官僚組織が政策ブレーンになっている、と一般の人たちは見ていると思います。民主党が提起する政策はいいけれども、そのようなバックアップなしで、政権を取ったときにちゃんと実行してくれるのか、という不安があると思いますが、それについてはどう認識し、どう対応しようと思っているのですか。 |
| A1:確かに、自民党には独自の政策はなく、官僚とパッケージだと思います。わたしも、自民党時代や役所時代にいやだったのは、自民党が衆議院選挙のときの政策を役所の若い職員に作らせることでした。役所は、いわば下請け、というよりは上請け、をさせられていたわけです。しかし、官僚は本来中立であるべきで、現実に我々が政権を取れば、官僚組織はそれを前提として動くはずです。もちろん、官僚個人や組織にもより、例えばいろいろな利権構造を抱え込んだところは無理だと思いますが、そのような官僚ばかりではないので、そこは十分動かせると思います。それをいかに有権者に理解してもらうかが大事です。実際、今回の参議院選挙でも官僚出身の議員として、東京、京都、愛知等から若い人が民主党で出ている。そういう人材の数を確保することも大事ではないかと思っています。 Q2:人気の動向をどのようにして調べているのですか。外注しているのか、内部でやっているのか、どのくらいお金をかけているのか、等について教えてください。例えば、そういった調査で、構造改革は自分にも痛みが伴うので消極的である、といった意見が出た場合でも、民主党としては、あえて政策を出すのでしょうか。 A2:人気の動向についてはマスコミでもやっているし、我々独自でも時々やっています。選挙前などは、頻繁にやりました。民主党の対応はケースバイケースですが、あまり世論調査に左右されると、全体の政策を見たときに訳が分からなくなってしまう。全体を見ながら調査の結果をどうやって活かしていくか、ということになります。 |
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Q3a:政策に強い政党という売り込みですが、その一方で、国民には民主党の政策が何かというのがいまいち浸透していないようなのが、多少支持率が伸びない理由ではないかという印象があるのですが、どう考えておられますか。また、都市、若者支持以外に基盤を広げていくような努力として、今後どのようなことが考えられますか。 |
政策が伝わっていないというのは、一つは、野党に対する日本人のイメージによるものがあると思います。55年体制のもとでは、社会党と自民党のように、はっきりイデオロギーが違っていました。それと同じように今の民主党の政策を見ると、あまり変わらないじゃないか、と受け取られがちです。しかし、それは時代が変わったせいなのです。我々は政権を取るつもりでいるので、極端に違う政策が出てくるはずがない。一番の問題は、個々の政策ではありません。実際の選挙の時は、個々の政策はそんなに詳しくしゃべれないし、有権者がそれを細かく見ているとは思いません。本当にやってくれるのか、大丈夫なのか、ということが一番見られていて、(民主党は)いいことは言っていてもバラバラ感があって、統一性に欠けていると思われているのではないか、と思います。あるジャーナリストは、大学生のクラブ活動のようだ、という言い方をしていましたが、確かにそういうところはあって、今後それが政権を取るための大きな課題で、党の意志決定をする仕組みをきちんと作らなければならないと思います。政策はネクスト・キャビネットで作っていて、党務は常任幹事会が、国会対策は国会対策委員会で行っているのですが、それぞれバラバラで、例えば、我々が小泉政権にどう対峙していくか、といったことを議論して決める場がない。企業で言う最高経営会議のようなものを少人数で作り、そこが全部決めて責任を負う、という仕組みにした方がいいとわたしは思っています。それから、党の文化として、議論を自由にするのはいいのですが、決めたら従おう、ということをはっきりさせていけば、もっと民主党に対する信頼感が高まると思います。 Q3b:そのバラバラというのは、旧社民系の労組基盤等が関係あるのでしょうか。 A3b:旧社民系ということはよく言われますが、わたしは横路先生(孝弘、党副代表)を始め十分一緒にやれると思っています。3年前に安全保障政策を決めたときも、彼に入ってもらい、最終的にはまとまりましたし、十分できると思っています。民主党はアメリカ合衆国だ、と私は言っていますが、かなりいろいろな人が集まっています。しかし、それは一方で強みにもなる。例えば、安全保障の議論をしていく中で、横路先生に教えられたこともたくさんあり、わたしにない視点を持っていると思いました。そういうことを、ポジティブに考えていく必要があると思います。安全保障の議論で苦労したのは、旧社会党関係者というよりは、若い人たちのかなり右の意見との調整の方でした。旧社会党にレッテルを貼る、ということはありません。労組はかなりこなれてきたと思いますが、わたしは、信頼関係があれば、意見が異なっていても、それはそれで理解されると思っています。最近でも、年金で401K(確定拠出型年金)法案に当たる法案を出したとき、連合はずっと大反対だったのですが、連合と話をして、我々は賛成だから、我々が賛成することは認めてもらいたい、ということで、民主党として賛成しました。また、道路特定財源を一般財源化することについても、自動車労連が抵抗していましたが、賛成とはいかないまでも黙っていてくれる、ということで落ち着きましたし、教育3法に至っては、日教組と前向きに話をして、我々が修正案を作って、自民党にも呑ませました。現在、そういう経験を積み重ねてきているところで、多少手間はかかるけれども、悲観はしていません。 |
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| Q4:先ほど、小泉さんと民主党の政策が近いという話がありましたが、対立軸が見えにくいと思います。そのような中で、世界の動きを見ると、グローバリゼーションが一つの対立軸になるのではないかと考えています。農林水産業や建設業などの弱い産業を抱える地方を重視するか、グローバリゼーションに強い都市部に重点を置くかという違いや、セーフガードの問題などがあると思いますが、このようなグローバリゼーションへの対応について、どう思いますか。また、民主党はどちらよりですか。 A4:グローバリゼーションが対立軸だとは思いません。共産党、社民党と、自民党、我々との対立軸がそうだと言われればそうかも知れませんが、グローバリゼーションが自民党と我々の対立軸になるとは思いません。日本の産業を立て直していくときに、当然効率の低い分野から高い分野に重点を移していくしかなく、そういうマクロの目で見れば、農業の保護やセーフガードの発動などについて、民主党が主張すべきではありません。自民党が話を進めたセーフガードにしても、我々は賛成はしましたが、好ましくないがやむを得ない、という立場です。そういう意味では、民主党は自民党よりもっと先を行っていると言えます。グローバリゼーションがアメリカの言っているルールを世界に適応するというのであれば違うと思いますが、避けようのない一つの方向としては積極的に受け入れていく必要があります。 Q5:現在、政策を立てていく上で必要なのは、透明性であると思います。これまで10年間の日本の政治の動きは、透明性を求めての争いだったのではないかとの印象さえあり、そのために小泉首相などのわかりやすい人が人気なのだと思います。例えば、政府においても、財政政策諮問会議など、平場で、プロセスもわかりやすい形で議論をしています。他方、民主党内での議論については、どうしてその結論に至ったのか、という点について政府よりもわかりにくい場合もあると思うのですが、そういう意味で、民主党がこれから政策の透明性をどうやって確保していくか、具体的なものがあれば教えてください。特に、専門知識を持つシンクタンクを育てたり、ネットワークを構築したりという方向性での具体策を考えていますか。 A5:税金を使っている政府と同じだけのことを党でやることはできませんが、週2,3回行われているネクストキャビネットの議事録については、かなり詳しいものを公開しています。民主党の政策について、報道さえもあまりされない中で、情報公開を全て自力でやるのは大変なことです。大事なことですが、難しいことです。小泉さんのメールマガジンも、全部税金でまかなわれているのですから、おかしいのではないかと思うこともあります。 Q6a:一部の、特に政策に詳しい民主党議員から、次の衆院選挙では労組出身議員に公認を与えるな、という意見があると聞きましたが、労組出身議員とどこに政策の違いがあるのでしょうか。 A6a:労組出身議員に公認を与えるな、というのではなく、比例で労組出身議員が出ると全て上位になってしまう恐れがあるので、この場合は入れない方がいいと言っただけで、選挙全体について公認しないと言ったわけではありません。労組出身議員もいろいろで、個人によって違います。中には、実際、労組が言っていることをオウム返しに言うばかりで、むしろ直接労組に話した方が弾力的だったりするというような人もいますが、それは個人の能力の問題だと思います。 Q6b:政権を取ったとき、労組出身議員が構造改革などの足かせになることはありませんか。 A6b:いろいろな議員がいるので、労組出身議員ということでくくることはできません。今でも、政策議論をしていれば、異論は必ず出る。その場合は、多数決、またはトップが決めるということです。私は、(政策議論の結論は)トップが決めるんだという立場であり、文句があれば2年後に自分が代表選挙に出て、代表になってやりたいことをやればいいと言っています。最終的には、トップが責任を持って決めることが大事だし、反対を言ってもいいが、決めたことには従わなくてはなりません。それができなければ、党を出て行くしかないと思います。 Q7:民主党に対して、一般の人は、反対してばかりとのイメージがあるようです。民主党の政策立案はすばらしいが、どういう政策立案をしているか、というアジェンダの設定に問題があるのではないでしょうか。自民党に先取りされてしまうケースが多いのではないか、と感じています。例えば、韓国・中国関係における靖国参拝問題などのあらかじめ、予想がついている課題について、民主党ではこういう政策を採る、というアジェンダの設定を事前に行えば、もう少し期待が膨らむのではないでしょうか。あと、コーカス機能、いわゆる応援団を強化しないと、例えば、テレビなどでもいつも鳩山さんが出てきて、実際に民主党が政権を執ったときに、どういう人が出てくるのか、ということが見えにくいと思います。それを、雰囲気だけでもわかるような仕掛けが欲しいと思うのですが。 A7:民主党の政策については、何でも反対していると言う人もいれば、自民党とどこが違うと言う意見もあり、どうしたらいいか、というのは悩みどころです。森首相の時に、鳩山さんが少々やりこめすぎた感がありますが、鳩山さんには人を批判するのは向かないのです。それぞれ個性があるから、鳩山さんなりの良さを出す努力をすべきだったと思います。 応援団については、努力が足りないと思っています。マスコミや学者でも民主党の考えを支持してくれる人はたくさんいるのですが、竹中さんのように自民党に持って行かれたりすることもあります。政権を取るまでは与えるものがないので、政権を取ることについてより現実味が出てくればいいのかもしれません。もっと努力していくつもりです。ここの皆さんにも、是非応援団になっていただきたい。日本ではまだシンクタンクなどの機能が十分ではないので、みなさんのような若い人たちがもっと民主党の支持をしてくれればと思っています。 |
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Q8:安全保障政策について、鳩山さんは集団的自衛権を支持していますが、菅さんはもっと左寄りで、さらに旧社民系の議員を抱えるなど、いろいろな意見がありますが、具体的な部分でちゃんと党内のコンセンサスができているのでしょうか。 |
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A8:2年前に、民主党の安全保障政策は冊子にまとめてあります。しかし、その後で鳩山さんが集団的自衛権について提起し、冊子にまとめられた政策を変える部分もあったので、やや混乱しているのが現状です。ただ、集団的自衛権についての我々の立場は、憲法解釈を変えて集団的自衛権を認めることはしない、ということです。それでは憲法改正をして集団的自衛権を認めるべきかどうか、ということについてはまだ結論を出しておらず、憲法論として議論すべきと考えています。集団的自衛権を認めるのは、戦後の日本の基本的な考え方を変える話なので、しっかり議論をすべきです。過去の戦争に対する反省などからも離れて自由に考えていくのか、それともこだわっていくのかということも含め、大きな路線を決める必要があります。 |
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A9a:賛成ですが、どうすれば現実にできるのかというのは難しい。ただ、10年前と比べればかなり変わってきていて、霞ヶ関が議論のベースとなるような情報の公開を進めてきていること、シンクタンクや政党に人材が集積されてきたことなどがあると思います。アメリカのように、政権が代わったときに、そういう人たちが政権に入っていく仕組みがうまくできないものかとは思います。 Q9b:例えば今回の政策評価法にしても、大変大事なことだとは思いますが、大きな誤解があります。わたしは、新規政策ができた場合は1%は評価のために回しておくべきだと主張しているのですが、政策評価を誰が、お金をつけてやるのか、というのが全然明確になっておらず、有効性がないと思います。アメリカの場合などは、60,70年代に1%の資金を評価に回したために、政策産業が外部化したのであり、いわば、政府の金でできたシンクタンクがたくさんあります。また、アメリカでは財団などが大変な財源を持っていて、政策形成に大きな出資をしています。そういうことに関して、日本は本当にお金がないといえます。 A9b:日本でも、政治家に政策秘書の制度ができたのですが、本来の意味での政策秘書を使っている議員はたぶん1割くらいしかいません。あとは第1秘書が経験を評価されて政策秘書の資格を貰う、という感じです。民主党の180人の議員がいれば、政策秘書が集まるだけでも180人のシンクタンクになるはずなのですが、実際には政策調査会には20人くらいの職員しかおらず、反省しつつ考えていかなければならないと思います。政策秘書の肩書きを持つ人が、地元で名刺を配っているというのが現状です。 Q9c:アメリカと日本の制度の違いもあるのでしょうが、アメリカの議会には予算委員会だけでも250人おり、政府の出す政策を見つつ、議会も別の政策を用意している体制にあります。日本もそういう金を議会が確保すればいいのではないかと思うのですが、なかなかうまくいきません。 A9c:与党にその必要がないからでしょう。議院内閣制の問題かも知れませんが。 Q10:ミサイル防衛について、衆議院の外交委員会でも実のある議論にはなりませんでした。アメリカでも非常に議論されている問題で、日本でもこのくらい議論があればいいと思うのですが、日本ではミサイル防衛の実状についてもよく知らないというのが現状です。ミサイル防衛や日米安保については、どう思われますか。 A10:外交はなかなか票にならないので、あまり公開の予算委員会でも質問しないものなのですが、重要な問題だと考えています。ミサイル防衛や対中政策についてはもっと深め、次の予算委員会では時間をかけたいと思っています。中身については、今までの冷戦構造が終わり、今までの脅威が脅威でなくなった、その中で、ゼロベースで議論していこうという態度は評価します。MADのようなお互いが、やられても完全にやり返すシステムを持つというのは、非人間、反人間的ではないかとも思います。ミサイル防衛については、今の時点では、技術的に大丈夫か、あれだけの金を本当にかける価値があるのかとか、いろいろな課題があり、これから議論を深めていきたいと思っています。小泉さん自身は、先にも述べたようにブッシュにノーといえない立場にあるので、かみ合った議論ができるかどうかわかりません。 Q11:次の衆議院選挙で勝って政権を取る可能性があるというお話でしたが、どういう形で政権を取ることを考えていますか。戦略などはあるのでしょうか。単独か、自民党との連立か、または、自民党の分裂に乗じる等ということを考えているのでしょうか。あと、民主党内で、ポスト鳩山さんは誰でしょうか。 A11:政権を取る際は、選挙で勝って単独で取るということしかあり得ないと思っています。過半数を取れなければ連立、ということもあり得ますが、それはその時の判断です。自民党と共産党以外であれば、政策が合えば組んでもいいと思います。しかし、最近の社民党を見ても、かなり政策の違いを感じ、困難を伴うことになると思います。自民党が割れたら、ということを党内でも言う人がありますが、それは相手が決めることであり、相手が決めることに依存する戦略というのはあり得ないので考えていません。そうなったら、その時考えればいいと思っています。 ポスト鳩山については難しいです。現時点では、党首に選んだからには、みな鳩山党首を支えるべきだと考えています。 文責 庄崎未果氏 (ありがとうございました) |
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