PRANJワークショップ記録
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「新テロ法案の一ヶ月」 Q&Aセッション 民主党 代表室 須川清司氏 2001年10月25日 CSIS戦略国際問題研究所 にて (ワシントンDC) |
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須川:衆議院はそうですね。参議院はこれからですが。私が日本を発つ前、民主党は参議院でもう一回修正協議に引っ張り込むと息巻いていましたが、多分出来なかったと思います。何故かと言えば、ほとんど(自民党内、与野党間の)政局で決まっているからです。政策論として「国会の事前承認に持っていく」といっても、仕方がないですね。今回は、まったく別の力学で決まっていますから。 質問:今の話についてですが、実は一番のポイントは民主党の与党への賛成条件は、国会上の事前承認だったわけですね。もうひとつ、後方支援の際の武器弾薬に条件を付ける、ということを民主党は考えていたのですが、最終的な鳩山・小泉階段では、そういった条件は付けなかった。その代りに事前承認は認める、というラインで決定したのですよね。 須川:民主党にとって、国会事前承認は、どちらかというとmustに近い形でした。 質問:結局、与党側が事前承認は譲るということを、民主党側としては思っていたのですよね。ところが、与党側が結局は譲らなかった。一つの理由は、与党の連立内で公明党が事前承認こだわると思いきや、直前でハードルを下げたと言うことですね。 須川:もともとの政府案は、国会承認は不要で、国会へ報告する、としていたわけです。それを10月15日の党首会談の日に、かつ党首会談の始まる前に、「国会への事後承認にします」と与党側が変えてきたわけです。今回は、当初から「落としどころは国会承認である」と報道が先行していたと言う事情もありました。確かに我々のところには、当初から「政府が最終的には事前承認まで降りて来る」という感触がありました。というのは、周辺事態法は国会の事前承認を必要としているわけですね。そのため、周辺事態法が事前承認で機能しているというのであれば、今回同じ規定を置いても機能するはずです。ということで、そこまでは与党は降りて来られるだろう、と言う見方が多かったのです。逆に小泉さんの方は、「民主党は最終的には、事後承認まで降りて来る」と聞かされていたようですね。しかし、実際には、公明にしても、橋本派にしても、安全保障政策というレベルを離れ、「民主党が与党の枠組みに首を突っ込むきっかけを与えることを避けたい」という気持ちが、おそらくあったのではないかと思います。民主党としては、「今回、安全保障政策の根幹に関わる問題であり、与野党問わず行いたい」と思っていたのですが、出来なくて残念に思います。 質問:これも確認ですが、報道を見ますと、周辺事態法のときは、原則事前承認しかし、緊急時には事後承認を義務付ける、という条件で大丈夫だったのです。しかし、日本の今回の報道から見ますと、事前承認が原則で、例外なしのように報道されていましたが、それは私の勘違いでしょうか。 須川:民主党案は、「原則事前承認で、緊急の場合は事後も認める」ということでした。そのことが読み取れるようにメディアが報道したのかどうかは、疑問です。 質問:そこは、メディアに対しても、きちんと報道していないようで、私も恨みが残ります。またアメリカ人もかなり勘違いしておりまして、今回民主党が出した条件は、周辺事態法と比べて厳しいではないか、と思っているようです。そこは民主党のPR不足でもあるし、伝える側のメディアにも責任があるようにも思えます。 質問:今回、アーミテージが’Show the flag’と言ったと伝えられ、それがテロ法案のプロセスに非常に影響を与えたと、メディアでは報道されておりますが、実際のところはどうですか。 須川:民主党などは、もともとモチベーションとして、対テロ国際協調というグローバルな観点が強かったので、それほど影響は受けませんでした。しかし、役所と自民党議員にはもの凄いインパクトがあったのではないか、と思います。「同盟から見放される」と言う強迫観念がかなりあったのではないでしょうか。真偽の程はよく分かりませんが、議員会館に役所の人が(アーミテージ発言を引用した、柳井さんの)大使公電を持って行き、「テロ法をやらないと大変なことになる」と言って回ったようです。ただ、ベーカー大使が違う解釈をしていたようですが、僕らがアーミテージ発言を聞いて直感的に思ったのは、海上自衛隊でした。特に、アーミテージ(海軍出身)が言ったら余計にそうだと思いました。
質問:こちらの柳井大使などの話を聞きますと、そういった話ではなくて、要は目に見える形での支援を求められたと言うことなのですよね。 須川:こちらに来て、米政府関係者にいろいろ聞いてみても、やはり想定しているのは海ですよね。 質問:先程も出ていましたように、同盟関係の視点から今回の法案は議論されていると言うことです。国内のテロ対策に対してはどうなのでしょうか。結局、アメリカも自分のことは自分で面倒を見ながら、日本に対してはアフガンの攻撃に際して支援を求めているわけで、日本に何かが起きても自分のことは自分で守りなさい、と言う姿勢だと思います。 須川:率直に言って、今回の国会議論は、「自衛隊を海外(と在日米軍基地)に対してどうするか」という議論ばかりでしたね。典型的な例では、国会や議員会館のセキュリティーは、今でもあまり厳しくありません。国会や議員会館に入る際に、鞄も開けなくてよいです。金属探知機もありません。国会でさえ、そのような有り様なので、対策など出てくるわけが無い、ということが正直なところです。原発などでの、警察を使った警備は、北朝鮮の話があったときにかなり強化しました。ただし、政府のPRということで言えば、原発に関しても、ミサイルを撃たれても防護壁があるから大丈夫、というような説明しかされていません。テロリストが人質をとって侵入した場合の警備は十分か、というあたりについては、まったくわかりません。 質問にお答えすれば、自衛隊を海外に派遣することに、議論の95%ぐらいが費やされており、国内の治安をどうするかと言うことは、今までのところ本当に議論されていません。それは本当に大きな過大だと思います。9月20日の党首会談の際に、鳩山代表から小泉さんに、「アメリカへの協力に伴い、日本に対するテロの危険も高まって来るわけで、アメリカへの協力と国内テロ対策は両輪にしないといけない」ということは言いました。ただ、具体的に何をすべきかということまでは、民主党も正直に言って手が回っていませんでした。もちろん、政府・自民党も、本気では動きませんでした。国内テロ対策は、米国からのプレッシャーがない分野であること、警察と自衛隊の縄張り争うがあったこと、自民党内の中に自衛隊を危険視するグループがいたこと、等がその理由でしょう。でも、無責任極まりないですよね。
質問:こちらの報道では、日本の東京、大阪のアメリカ大使館に何か不審なものが送られてきたとのことです。日本の報道では、一切載っていなかったのですが、何かこのことに対して、日本の反応とはどうであったのでしょうか。 須川:通信社がそんな報道をしていましたね。しかし、本物ではなかったとのことですね。
質問:そのことに関連して、もし本物であった場合は、アメリカのために日本も狙われるのだと言う世論は起こるかもしれないから、政府側としては、対応を控えめにしているのでしょうか? 須川:それはないのではないですか。「アメリカがいるために、日本も巻き込まれるのだと日本人が考えないか」ということは、幾人かのアメリカ人からも言われました。でも、日本の雰囲気はそうではないです。もちろん、ゼロではないですが、少数派でしょう。規模によるとも思いますが、犠牲が出ても日本は反テロ支援を続けると思います。犠牲が出る場合は、それと対テロ協調等の国益との間の、プラス・マイナスの計算が大事になります。たいした国益がかかっていないのに、犠牲が出るのであれば、そもそも自衛隊を派遣するべきではありません。しかし、今回は、仮にある程度の被害が出るとしても、そのことによって引き揚げるべきだ、という雰囲気ではないと思います。
質問:それに関してですが、現在の時点で、自衛隊の方が出て行って負傷されたとなると、そのことに対する補償というものはどのようになっているのでしょうか。国からの補償はされるのですか、されないのですか。 須川:そのような議論は、国会レベルでは行っていないと思います。私が聞いたところでは、自衛隊の方が、「内規か何かで対応しなければいけないな」と言っていました。法律で、何か個別に補償する、という方向にはなっていないと思います。詳しいことはわかりませんが、防衛庁の中でやりくりをする、ということを聞きました。
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質問:憲法改正の可能性について伺いたいと思います。今回の議論をきっかけに、憲法改正の可能性は出てくると思いますか。また民主党ではどのように考えていますか。また須川さん御自身はどのように考えているか、ご意見をお聞かせください。 須川:最初に、横道にそれさせてください。以前、東京で外務省の方と話をした時に、ドイツと日本の比較が話題になりました。湾岸戦争のときは、ドイツも日本も人的な貢献が出来ず、世界からつまはじきにされた経験をもちました。ところが今日、ドイツは、実際に行うか行わないかは別として、軍事的に何でも出来ます。しかし、彼らはやり方が非常にセレクティブで、自分達がイスラムに直面しないように上手にやっていると思います。マケドニアでアメリカの部分を肩代わりしたり、北米にAWACSを派遣したりと、人的協力を行っていますが、実際にやっている中身を見ますと、「ドイツはいつのまにか外交的に賢い国になったな」という印象を受けます(笑)。湾岸戦争時に、日本とドイツは同じような状況でしたが、今日までに段々と差がついてしまったな、と思いますよね。
質問:それでは、ドイツは湾岸の経験によって、軍隊を外に出せるようにしたということですか? 須川:そのことを今言いたかったのですが、ドイツは湾岸だけではなくて、その後にユーゴスラビアを経験しています。ユーゴに軍隊を派遣するために、憲法裁判所で憲法解釈を変え、NATOの域外にも出せるようにしたわけです。ドイツは、90年代を通じて軍隊派遣のニーズに実際にさらされており、それに応えざるを得ない、という状況にありました。それに比べて日本は、北朝鮮の危機があって、実際にガイドラインも改定したのですが、それはあくまでポテンシャルに終わってしまいました。実際に、自衛隊を派遣するという事態にはならず、その差は大きい、と思います。 要するに、日本をドイツと比べて、日本がダメだという議論は、一面的過ぎるような気がします。ドイツはやらざるを得なかった。しかし、日本はやらなくて済んでしまった、ということが間違いなくあったと思います。そして、今回は日本もついにやらざるを得なくなった、ということです。必要性に迫られたと言う意味では、かなり出遅れはしましたが、日本もテイクオフはしたのかな、と思います。ただ、ドイツとの開いてしまった差をすぐに埋め合わせられのか、というと、これは分かりません。ドイツは憲法の解釈を憲法裁判所で変えました。憲法改正や憲法解釈の変更を日本が行うのかどうか、ということがこれからのポイントです。解釈変更を行わないで、ごまかしながら自衛隊を派遣し続けるのであれば、おそらく現実と憲法に縛られた部分のギャップが破裂して、とんでもない事態に追いこまれた後に、ようやく目が覚めるという可能性もあるのではないでしょうか。その時は自衛隊の被害が甚大なものとなるのか、一度始めたオペレーションを止めなければいけない状態となって、世界から非難される、という状態になるのかもしれません。 個人的には、自衛隊を海外に本格的に出す場合は憲法改正しかない、と思っております。憲法解釈を変えるという話もありますが、私自身は憲法改正の方を好みます。その場合には、日本は軍隊を保有する、侵略戦争を行わない、最高司令官をきちんと明記し、国会のチェックを規定する、などということを入れておけば、シビリアンコントロールもそれにより担保され、機能するのではないかと思います。9条を部分的に変えるよりも、このようにすっきりとした憲法改正を行えばよい、と思います。その時に、国連決議があれば海外に行ってよい、同盟事態ならばよい、等々の縛りを憲法に明記することはよくない、というのが私の考えです。憲法上は、国会・総理大臣によるチェックと、侵略戦争はしないという縛りを明確にすべきだとは思いますが、それ以外は憲法ではなく、政策判断か、法律のレベルで縛ればよい、と思います。 もう一つの、憲法解釈を変えるというアプローチについてですが、現在、障害になっているのは武器使用基準と、他国の軍隊との武力行使との一体化、という2点でしょう。特に武力行使との一体化の部分を変えればよいという意見は根強いです。参考までに言っておくと、集団的自衛権がどうのこうの、という話によくなりますが、日本の9条解釈で一番の根っことなっているのは、「日本に許される武力行使は自衛のための必用最小限度」という憲法解釈です。この解釈が全ての根源です。集団的自衛権は、自衛のための必用最低限度を超えるものだからダメだと言われるのです。「集団的自衛権だから即ダメ」と書いてある訳ではありません。この「自衛のための必要最小限度」という概念を変えなければダメだと思います。これを変えれば、自動的に集団的自衛権の話もクリアー出来ると思います。もちろん、先ほど言ったような憲法改正を行えば、この問題はそもそもなくなります。 しかし、解釈で変えると言うことはあまり好ましいとは思いません。もともと9条には、国際紛争解決のための武力行使は不可能である、という意味のことが、文章上は記してあります。それを解釈で読みこむということになると、もとの文章との乖離が甚だしくなり、そこまでホンネとタテマエを使い分けることは、国際的にも、子供の教育上も、耐えられないな、と思います。また、ドイツのように憲法裁判所のような仕組みがあればよいのですが、日本が解釈変更を政府限りでやってしまえるとすれば、人気のある政府ならば何でもできてしまうことになります。そのことにより、憲法の意味が無くなってしまうという危惧がありますし、国際的にも近隣諸国の警戒感が当然出てくると思います。 従来の政治情勢では、憲法解釈を変えるのはダメで、憲法を改正するのだったらよい、ということは、要するに憲法には触れないと言っているのと同じだったわけです。しかし、最近の政治情勢を考えると違います。政治的な意志とスキルをもった政治家がきちんと行えば、憲法改正は今でも可能であると思います。世論はついてくると思いますし、(国民投票に必要な)国会の3分の2も取ることが出来ると思います。民主党は一人も反対が出ない、とは言いません。20人や30人の反対は出るかもしれません。しかし、このことについて、よく新聞などで言われるように、憲法問題で党が割れることはけしからん、という議論はまったくナンセンスです。憲法改正のために政党があるわけではありません。もしそうであったら、例えば、憲法9条に賛成かどうかということで政党を作ればよいわけです。仮につくって、非常に政策が分かりやすくなったとします。さあ、次は、首相公選制について憲法改正の議論が出て来ます。9条改正に賛成していた人が、今度は首相公選に反対したりして、再び党が割れてしまうわけです。それで、環境権の話になったら、またバラバラになるわけです。憲法改正を行うたびに政党をつくらなければいけないなら、こういう話です。私は、憲法改正は党議拘束を外してしまえば、何の問題もないと思います。現状でも、国会の3分の2は取れます。ただし、野心的でリーダーシップを備えた政治家がいれば、という条件がありますが。 常識的に考えれば、今の憲法と言うものはとっくにリミットに来ているわけです、今の、憲法解釈の中でやりくりを行うということは。トマホークを撃つことは戦闘行為かどうか、と議論しているレベルですから。それは内閣法制局によれば、船の上に大砲を置いてアフガニスタンを撃つということであれば、戦闘行為らしいのです。しかし、トマホークは撃った時には相手を狙っているわず、後に誘導していくという話なので、戦闘行為ではないらしいです(笑)。皆さんの失笑が出るような話なのですが、言葉の裁量に限界が来ていると思います。[註:法制局はその後、答弁を変更。] その一方で、今回は常識だのなんだの、と言う話が勝ってしまっていますね。しかし、「常識で対応すればよいのだ」という話であれば、憲法など変えなくても、何でも出来るということになります。このような議論が通るようであれば、私は護憲派に変わります。次の試金石は、PKO法の改正、武器使用をどうするかということが俎上に挙がっていますが、おそらく今度出てくるものは、憲法改正、解釈の変更は考えないで、法改正をするのではないかと思います。次に何か事件が起こるまでは、従来の線を飛び越える何かが出てくることは、あまり期待できないように思えます。与党の中に公明党が入っている状態では、なおさらです。 私は、憲法を改正するには、内閣支持率の高い今がチャンスであると思います。しかし、私の立場で言うと信じてもらえないかもしれませんが、小泉さんの指導力はかなり傷つき始めているな、という印象も持っています。未だに、70%以上の支持率があるので、一般には強いと言う印象でしょう。しかし、確信に近いのですが、小泉さんの連立与党に対するグリップは弱まってきています。そういった意味では、(憲法改正の)チャンスはあるけども、それほど大きくはないのかなとも思っております。小泉さんの人気と、自民党内でのパワーは、「アンチ自民党的なことをやる」ということが源泉だったわけですよね。反自民であることを示すことによってしか、現在の自民党は選挙には勝てないという状態ですよね。ということは、選挙の前は、橋本派であろうが何派であろうが、小泉さんには逆らえないわけです。そのため、小泉さんが力をもてるのは、選挙の前と直後だった。逆に言えば、小泉さんが自民党の中でグリップを握れるとしたら、選挙の直後に大改革を行えばよかったんです。しかし、そのチャンスを逃がしてしまった。失われた時は、もう帰って来ないと思います。 今、一部で言われていることは、「小泉総理の自民党化」ということです。小泉さんもジレンマを抱えています。改革を目に見えるものにしないと、いつか国民の支持を失います。しかし、自民党政権で改革を行うためには、所謂、守旧派の協力が必要で、それがなければ何も結果を出せない、という構図に追い込まれてきて、そうすると妥協しかない。おそらく、今回(テロ特措法)も、小泉さんで見れば、民主党の協力が欲しかったのだと思います。にもかかわらず、与党3党の「事後承認までしか降りては行けない」という決定を崩すことは、小泉さん一人の力では出来なかったわけです。おそらく、同じことが国債の30兆円枠でも起こるし、特殊法人改革に関しても、形式的な、骨抜きになったものがいくつか出て終わり、と言うことになるでしょう。不良債権は、あと半年ぐらいは手が着かないでしょう。もう一つ、規制改革に関してですが、これも、総理就任当時はやる気を見せていたのですが、今は完全に止まっております。
質問:郵政改革もそうですか? 須川:郵政改革は、「郵貯民営化」という5文字はありましたが、その中身は最初も今もありません。不良債権の処理を行っていないので、国民はどこの銀行が安全か分からない。今は、安全な預け先は、良かれ悪しかれ、郵貯しかありません。そんな状態の中で郵貯を民営化しても、国民はどこに金を置いてよいのか分からなくなります。そのような、皮肉な構図になるのではないか、と言う口の悪い人もいます。現実には、郵貯民営化もシンボルにとどまるでしょう。
質問:不良債権はこちらから見ると、最初に解決しなければいけない問題であると思います。何故それほど不良債権をいつまで経っても解決しないのか、危機感として最初に何を行わなければいけないのか、ということについて、どのようなコンセンサスを民主党、与党を含めて得ているのですか? 須川:民主党に関しては、不良債権処理は一番の課題です。98年の金融国会の時から、民主党にとってみれば宿命みたいなものであり、民主党が政権をとったら、最初の3ヶ月で行いますよ。最初の3ヶ月でやらないと、出来ないわけですから。つまり、最初の3ヶ月で行えば、人のせいに出来るわけですよ。「自民党政権が悪かった」と。公的資金をいくらつぎ込もうが、自民党のせいに出来るわけです。小泉さんも、本当のことを言えば、政権をとったときに、「現在ある不良債権は俺のせいではない」とうそぶいて、がんがん改革を行えばよかったのです。
質問:民主党が考えられる不良債権処理とは、具体的にどのような状態になったときに処理が終わったと見るのですか? 須川:さっき言った意味は、3ヶ月で(直接償却まで)完了するという意味ではありません。むしろ、完了させたらパニックになると思います。基本は言い尽くされていることで、マーケット価値に近い形で資産査定と引当を行わせること。そこで、銀行の資本が足りなくなったら、残しておかなければいけない銀行に関しては、税金を投入する。銀行サイドはそういうことです。この時に、地方の銀行まで、同時に進めるかは判断が分かれるところです。むしろ、大手行から手を付けるべきだろう、と思います。大手行とゼネコン、不動産、流通など大手問題先30社などはリンクしてくると思います。大手行は、現在、表面上は自己資本比率が12%などと言っていますが、きびしい査定をすれば、半分位は、四捨五入すればゼロになるぐらいに、落ちるでしょう。ネガティブになるところもあると思います。国内業務に特化するにしても、4%はないと存続できないので、その時は税金を投入する。その時の条件として、経営陣はもちろん排除でしょう。ほとんどの銀行は特別背任で追求できるので、刑務所に行ってもらいます。日本の銀行は今まで資本注入はしていますが、経営陣が責任を問われるのは、潰れた時だけなのですよね。生きている銀行に資本注入した時は、経営者が責任を問われたことはないです。 あとは、この前竹中さんが言っていた、直接償却ですが、これを3年でということは間接償却をやっておけばついてくることです。逆に言えば、間接償却をしっかりやらせないで、直接償却のみしっかりやれということは、無理なのです。つまり、例えば100億円の融資があるとします。マイカルなどは典型的ですが、いつ潰れてもおかしくない、というのが世間の常識だったわけです。その100億円に対して、あれだけ潰れそうであったならば、100億のうち、70億か75億は引当金に積んでおく。積んでおけば、実際に潰れても、25億の損にしかならない。しかし、実際は、ひどい場合は3億ぐらいしか積んでいないわけです。そうすると、その企業が潰れて、貸金が回収できないとなると、97億ぐらいの損となります。間接償却で、例えば、マイカルならその企業価値に見合った分ということで、70−80%の引当をさせておけば、マイカルの債権を(事実上倒産した際に)直接償却しても、ロスが限られるわけです。間接償却を推進することにより、直接償却も推進できるわけです。しかし、これが数パーセントしか引き当てをしていなかったならば、そこで債権を直接償却してしまったならば、ほとんど90%以上のロスが出るので、それを2、3年で行うという小泉方針は、ただの空念仏です。
司会:本来ならば経済問題についても別のセッションを持ちたいところですが、また次の機会ということでお開きにしたいと思います。ありがとうございました。
文責 鈴木紘平氏 (ありがとうございました) |
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