PRANJワークショップ記録 

    「日本と中東政策」 つづき
   保守党 小池百合子衆議院議員

2002年1月2日 CSIS戦略国際問題研究所 (ワシントンDC)
 

今日はUSAID(米国際開発局)のパット・クローニン氏に会ってきましたが、「アメリカは中東やインドネシア、エジプトなどに援助してきたけれど、どうしてこう裏切られてしまうんだろう」って聞かれました。私はずばり「それは教育ですよ」と答えておきました。教育とそれにあわせるジャーナリズムが変わらないといつまでも同じです。政治マンガにはイスラエルは必ずドクロマークで表されますし、アメリカはガリガリのアンクルサムが星条旗模様の山高帽を被って描かれる。もう少し教育を、それも自然な形の教育を通じて、アピールしたらどうかと思いますね。中東に関する私自身の考え方はこんな所です。
国内問題ですが、9.11を受けて、特別テロ措置法がわずか3週間で成立しました。私は今国会対策を担当していますので、国会内を走り回って、根回しもしました。結局、民主党が騙された、というか当てが外れた形になるのでしょうか。一言でいうと見通しが甘かったのではと思います。今回の不審船問題で海上保安庁法改正は、それだけ単独でやっても、かなり大きな話ですが、対テロとの三点セットでやりましたから、あまり注目もされなかった。国会での審議はアフガニスタン、パキスタンの質問に終始したケースが多く、海上保安庁の不審船がらみの改正は質問さえも出なかった感じでした。なぜこれほどの法案が早々と成立したかと言うと、総理が小泉さんだったからにつきるのではないかと思います。審議では、「テロリストとはじっくりと話し合うべきだ」と堂々と言う議員もいて、総理は「どうやってテロリストと話し合うのか。話し合いができないからテロリストなんでしょ」とやる。とても分かり易いんですよ。それだけに、これでいいのか?と思うような部分もありましたが。これが小泉さんじゃなかったら、多分これほど早いスピードで通らなかったと思います。党には、湾岸戦争の時の総理をなさった方がおられますが、「十年前とは天と地の差がある」とおしゃっていました。ポイントは「小泉さんだったから」という、あやふやなファクターで進んだというのが私の率直な感想です。

ただ今回はテロという切り口で対処したわけですが、今後、対イラクや対ソマリアなどもすべてテロで片付けられるのは不安がありますね。私はどちらかというと安全保障面ではハードライナーでしょうね。去年の李登輝さんの訪日支援の会、靖国参拝を実現させる会、教科書を自由な環境で選ばせる会、朝銀問題を徹底追求する会、それから安全保障基本法を作る超党派の会と、私はすべてにおいて副会長を務めています。だいたい私は言い出しっぺですが、長には自民党の人にやってもらう。そのほうが広がりますから。最初に平沢(勝栄衆議院議員)さんか、米田(健三衆議院議員)さんの所に電話して、そこから物事が始まるんです。

安全保障基本法については今年の1月1日付の読売のトップで扱われていますね。政府が進めるとありますが、初耳です。ようは集団的自衛権の解釈変更を法的にさだめようという考えです。ただし、これもとりあえずの技術論で、本来は憲法改正をすべきだと思います。いつも行間を読んで、事が起こってから、あわてて法律を作る。まさに泥縄方式はいつものパターンで、何も変わらないですね。だから解釈変更や、憲法そのものを改正するのが道筋であるはずです。どうも日本人は集団的自衛権に対して義務を感じすぎてしまうのではないでしょうか。私は日本の自衛権行使について、「できる」、「できない」、canとcannotの選択ではなくて、日本としてこれを「します」、これは「しません」というdoかdon’tの選択肢に変えるべきだと考えているんです。私はその他の個所も含めて、憲法改正をすべき論者です。国会の憲法調査会には野田(毅保守党党首)さんの代わりにしばしば出席しています。でも皆が意見の言いっぱなしするだけで、きっと来世紀まで続けていますよ。ただ回数を重ねているだけで、出口がない。別の超党派の会では国民手続きの方法論について法案まで用意しています。国民手続きのルール作りをまずやる。これまではルールさえなかった。

憲法改正まで行けば、安全保障基本法のような中二階をわざわざ作ることはないわけで。そうは言ってもまだ時間がかかるでしょうね。勢い余って処理するのもいけませんし。だからこそ、まず集団的自衛権については憲法解釈の変更と言う形で進めておくのが現実的だと思っております。この動きは今後も続けて、超党派のプレッシャーグループやっていきます。若手中心です。大御所がいると、会長などにになって頂かないといけなくて、動きが鈍くなりますし、大御所の色に染まっちゃうような気がするので、避けたのです。で、自称若手が101人集まりました。私は101匹ワンちゃんと呼んでます。議連とすれば、結構な数だと思います。この問題は突き詰める度に、民主党は踏絵を踏まされますが、むしろ政界再編の起爆剤になればいい。

私は早く政策による政界再編をなすべきだと思ってます。それはひとえに自民党が割れるかどうかなのですが、これがなかなか強固でして、そう簡単ではない。自民党に初めて自分達のレゾンデートルが与党だと気付かせてしまったのが私達です。下手に学習効果を与えてしまったと反省してます。ただ10年かかって、けっこうな所まで進んできたとは思っています。今は保守党の衆議院委員が7人しかいませんので、私自身はもうへとへとです。与党三党という事で、プロジェクトチームがおびただしくあって、各党から必ず2人出せと。私は今、20ぐらいのプロジェクトチームと3つの委員会を掛け持ちしています。自分で連立制過労症候群と診断していますが、誰が聞き間違えたか、小池は前立腺が悪いみたいな話になっています。(笑) 本日は手袋をはめたままで失礼しましたが、議員宿舎の床が汚いのでマジックリンで拭き始め
たら止まらなくなってしまったのです。あちこち拭き掃除をした所、手が大変荒れまして、主婦湿疹というそうです。絶対患うはずのない前立腺に主婦湿疹と、難儀をしています。(笑)。
若干長くなりましたが後は質疑応答でお願いします。
 

質問1:イラクのフセイン大統領に対するアラブ側の見方の変化をどのように感じられますでしょうか。


 
 
 小池:湾岸戦争はアラブの仲間のクェートが、これまた仲間のイラクにやられたわけです。アラブ全体でいうと、イラクという国家が敵だった。今回は敵たるものがテロであり、国境を越える。対ウサマ報復ではアラブ各国で少しずつ欧米と対応に距離があった。対イラク攻撃はアラブ側を説得するのは骨の折れる作業だと思います。ただ余り時間を置くとテロがらみに持っていき難いのでは。

むしろ私が心配するのはサウジ情勢なんです。サウジはある意味で堕落した部分もあるし、それに対して民衆もウサマの指摘に少なからず同調するところもあります。ウサマの関連でサウジに残っている仲間の中にクーなどの綿密な計画を立てられる人物がいるのかはわかりませんが、もっとも安定した王政が今後も続くとは限らない。大きな転換点を迎えるかもしれません。

アラブ諸国も健全な民主主義体制に移行してくれば良いんですが、アラブで民主的な投票で政権交代が行われている国はほとんどありません。ほとんどが信任投票方式です。結果は投票前から分かっていて、99.8%か99.7%がYesだと相場は決まっているのです。サウジが急に投票という形で王政に変わる体制を作ると言っても難しく、混乱するでしょう。日本にとってはサウジの変化は最大の不安材料です。アメリカのイラク攻撃はそこまでの波及を考えざるをえない。直接日本に影響する問題ですから、慎重にしてほしい。           

質問2: 今の件に関して、また日米の援助政策に関連してなのですが、先程USAIDの方の話でどうしてこんなに金を注ぎ込んでいるのに嫌われているのかと言う話がありましたけれども、Newsweekで去年「どうしてアメリカはこんなに嫌われるのか」という特集を組んだ中に今おっしゃられたようにサウジは非常に腐敗していて腐敗した王家を支えているのがアメリカでアメリカの援助は皆そのように腐敗した方に持ってかれていると。民衆にしてみれば援助は来ているかもしれないが全く関係なく環境は悪
くなっており、民主主義を破壊する方向にアメリカの援助は流れておりだからアメリカは嫌いなんだと。それをアメリカ人は自分達はこれだけ金を注いでいるのに何故嫌われるのかというのはアメリカ人の想像力の欠如であるという論調の事が書かれていました。それはある意味全くその通りであると思いますが、一方で今おっしゃわれたようにアラブの諸国に純然たる民主主義が育たないという事になると、援助するだけ結局必要なところに金が届かず民主主義的なものにはならず民衆には嫌われるという形になっていくんだと思います。そう考えると日本は比較的アラブとの関係は良いと言われていますが、では宗教的には中立、政治的軍事的には力もないニュートラルなところで経済だけで入っていこうとすると逆効果になっていくのではないと思いますがどうのようにお考えでしょうか。

小池: まず、サウジは一時国債を発行した事もありますが、とうてい援助対象国ではないわけですね。日本的なODAとは無縁です。アメリカは軍を送っているのが最大の援助でしょう。そのことがウサマ・ビンラーデンの一番かんに触るところで、目的が齟齬をきたしている。それぞれが自らの国益のために支援するわけで、単にお世話しましょうというお人好しはあまりない。日本は往々にして後者の対応が多いですね。サウジの国益とアメリカの国益とのギャップが生じてきているのだと思います。
イラクのフセインをあそこまで追い詰めたのに、アメリカは最後にフセインの首をとらなかった理由は、バクダットからフセインがいなくなれば、米軍をサウジに置いておく理由がなくなってしまうからというのが、私の解釈です。問題がなければ置き続ける必要がないでしょ。ヒール役ですよ。だからそう簡単にイラクを攻撃しないというのが私の考え方ですが、アメリカの空気は結構高まっているようですね。明日ボルトンさんあたりに色々聞いてみます。

外務省の人達や昔からの知り合いに声かけてODAの勉強会をやっています。私はこんな命題を出しています。日本にODAの能力が無くなったとき、どうするか。これまでは資金もふんだんで、戦後賠償以来、ずっとサンタクロース役を務めてきた。貰う方も当たり前だと思っている。当たり前どころか、政権維持の道具としたり、既得権にもなっている。おまけに減額すると、怒ったりする。産経新聞の古森氏がよく言っているように、中国のODAなどは民衆は出所など何も知らない。

それから国内的には、先程ガザの失業率の話をしましたが、アフガニスタンを支援して日本国民である我々は守らないのかと、ホームレスの人達が怒っている面もでてきました。当分経済は厳しいですし。ちなみに国内の雇用政策を含めた補正予算は5,500億円です。ODA総額は約1兆円。アフガニスタン復興で、「日本よ、よろしく頼む」なんて言われても、けっこう厳しい。「日本も大変だからね」と煙幕を張っておきましたが、どれだけ日本にとっての国益に繋がるかと、シビアに取り組んでもいいと思っています。

特に支援のテーマ設定では、あれもこれもではなく、日本は学校や医療などの分野にするとか。日本のODAでありがちなのは、お金は出しても、仕事はイタリアとかフランスへ回ってしまったり、欧米で話ができているところに、日本には請求書が届くとかね。パレスチナでもそうですよね。緒方(貞子前UNHCR)さんが議長になられて良かったと思ってますが。ODAで安易にお金をバラまいてきたけれど、ODAだのみの外交から脱却すれば、外交の優先権を決める、どうすれば国益になるかをもっと真剣に考えるはずです。私の命題は、本来の外交はどうあるべきか、です。そういうテーマの勉強会ですから、皆さんもご意見あればメールで教えて頂ければと思います。

                    


質問3:日本の中東における一番大切な戦略というのはどのような点を焦点に進めていくべきでしょうか。

 
 
小池: これまでは中東政策はなかったけれども、石油政策はあったといわれます。「石油=アラブ」で進めてきた。しかし、それだけではいけないとイスラエルにも力を入れ始めたのは、この十年ぐらいでしょうか。実は、今回のイスラエルによるパレスチナ空爆でも、日本はなかなかコメント出さないので催促したのですが、イギリスがコメントを出すのを待っていた。日本の中東政策はそのことがすべてを物語っていると思うのです。私は先程申し上げたように、パレスチナ国家樹立を最優先させる、そのための環境をできるだけ早く作ることだと考えています。障害になっているエルサレム問題は一時棚上げです。宗教が絡んできてしまうので。日本の提案としてエルサレムを国連の管理下に置く案を提唱すべきですね。具体策として。それこそ日本が言い出せる。ただし、実行はアメリカの力次第だと思います。

アメリカがイスラエルをどれほど抑え、パレスチナをどれほど抑え、その両方とどれだけ上手くやっていくか。アメリカの場合は、この前の大統領選を見ても(ユダヤ系アメリカ人)のリーバーマン氏を副大統領候補に立てたことでわかるように、大統領選、内政に直結しています。かえって動きづらい部分もある。ちなみにイギリスのブレアはこのところ熱心に外交に力を入れていますが、そもそも中東問題の最大の原因はイギリスにあり、ですよ。今回、当事者であるアメリカが動けない分、ブレアが動
いて点数稼いでいるようですが、「おいおい」ですよね。アメリカが中東和平で日本に何か頼ってくるかといったら、ほとんどその意識はありません。全然ない。日本は妙に切り出して、小切手外交にならなければいいのですが。

ちなみに1月10日から与党三党の幹事長がイスラエルとパレスチナに行きます。私はよほど日本の中東政策を詰めて行かないと、嘆きの壁の見学や、要人との握手をしている場合や段階ではないと思うのです。むしろ訪問は先延ばししたほうがいいのではと提案したのですが、イスラエル側が会談の日時まですでに決めていてパスするわけにはいかないと。イスラエルはてぐすね引いて待っているかもしれませんから、身ぐるみ剥がれないように心しなければなりません。この所、なぜか与党三幹事長がそろって、パキスタンに行き、北京に行き、韓国に行きといつも一緒なんですね。そこでディエゴガルシア島までしか行かないとか、カラチの港までしか行かないとか、お決めになる。準備する側にとっては大変なので、せっかく行かれるのだから実りあるものにしてほしいと願っています。

質問4: 日本の中立性に関しての質問なのですけれども、テロ特措法によって自衛艦隊を派遣するという事が決まったときに在パキスタンタリバン大使のコメントにもあったように「日本が攻めてくると思った」というように今までの日本の中東政策におけるアドバンテージと捉えられていた中立性というのは今回の対応によって損なわれたと考えられるのでしょうか。それとも理解を得られているのでしょうか。

小池: 先日、BBCで不審船に関する日本の対応を、「野蛮」と表現して、頭にきました。日本の動きはちゃんと世界には伝わってないと思いました。今回も後方支援だからいいだろうと考えているのは、日本人の勝手な解釈ですね。私は日本に米軍基地があるだけで、すでに充分コミットしていると思いますが、きっちり伝えるべき事を伝えないと自己満足になってしまいますね。一方で、国によっては日本人はイメージとして好かれる存在でもあります。広島・長崎の地名はエジプトでは大学の入試問題
によく出る必須知識。私の知る限りエジプト人が知っている日本の固有名詞はホンダ、スズキなどのほかは東京、広島、長崎ですね。本州、四国、九州も試験に出るので覚えていますね。なかは広島・長崎が一つの街の名前だと思っている者もいる。それ以外は教科書にあまり出てこないから、逆にいいイメージが保たれているのかもしれませんが。それも随分あやふやなものですし、正しく伝えればいいかといえば、そうでもない。日本は一種の憧れの対象なんです。今回、日本がアメリカの支援をした
からといって、突然その辺りがもろくも崩れるとは思いません。欧米でも、欧州、なかでもオランダやイギリスなど、戦時中に収容所生活を経験した人達による活動を考えれば、日本も若干弱いですが。
 

質問5:私がパレスチナのエルサレムのWest Bank(西岸地区)の方から入っていった時に、一番ショックだったのが貧困ぶりでした。それと夏にジュネーブのWTOにいた時にアラブの人達と話をすると、グローバリゼーションが私達の生活を悪くしていると、グローバリゼーションの象徴的なものを垣間見た気がします。そう考えてくるとグローバリゼーションの自由貿易体制というものと安全保障体制とか色々絡んでくると、そういった時にそのようなものを絡めて見ていくような仕組みというものは政府に何かあるのでしょうか。

小池: あるはずないと思います。小泉さんはよく諮問会議を作るのですが、そこで全体的な仕組みができればいいのですが、不審船事件の対応の遅れや、阪神大震災の時の自衛隊出動までにやたらと時間がかかったことや、大切なセキュリティ面でさえ、日本は縦割りですよね。グローバリゼーションを考える前に、ナショナルな部分でさえ、総合的な仕組みが欠如しています。狂牛病の話も同じです。厚生労働省と農水省と、それから焼肉屋さんの救済などになると中小企業庁、経済産業省という話になってくる。夫婦でやっている中小の焼肉屋さんの救済策はあっても、中堅どころは抜け落ちるケースがあって、苦労しました。まず農水大臣に陳情すると、「それは中小企業庁だ」と言う。大臣自身が中小企業庁長官に電話を入れてくれて、「お前達何してるんだ」とせっつくのだけれど、中小企業庁からすれば、農水省の予算でやればいいじゃないかとの思いがあって、かえって反発して、結局、何も動かない。省庁再編をしても、何も変わってないですよね。セクショナリズムは予算に起因します。

審議会で外部の人達を呼んで、政策をまとめようというのですが、政治家はいらないという話になってきます。与党の事前審査をなくす話もあって、クロスボーティングは私も賛成しますが、やたらと長い国会になるのではないでしょうか。国対テクニックも変わってくる。自民党のインセンティブである与党の旨味という部分がなくなるのはいい。法律の立案、審査のシステムをそっくり変えねばなりません。みなセレモニーになっていますから。予算なんか一円たりとも修正しない。面子にかかわるからと。面子はどうでもいいから、もっと臨機応変にやってくれと私は思っています。いずれにせよ政治のイニシアティブが大事です。小泉さんは無茶苦茶やってますが、私はそれでいいと思ってます。新聞の新春対談で麻生太郎さんらと討論をしましたが、私は、今はコンセンサスを求めてもまとまるはずがないので、今はトップダウンでいいと申し上げました。

質問6: 政策のプロセスというのは大分今変革の時期で、例えば自民党の中の審査、総務会の審査もやっと皆が問題意識を持ってきたと、それまでは学者は書いているが本当にそれをどうしようと言う話にはならなかった訳ですね。割とそっちの方向に動いているのだと思いますが、今おっしゃられたように今までの国対とか議運とかのスケジュールの問題もあるので、大雑把な話で結構ですが今後どういう方向に動いていくんだろうという見通しはお持ちでしょうか。

小池: 政策立案は政治が先頭に立って、肉付けは役所の官僚の力も借りる。この方向が増えるでしょう。与党には政策ごとのプロジェクトチームがありますが、自民党は議員数が多く、皆に役職を与えるためにプロジェクトチームを量産するのです。PTの現場では役所を度外視するケースもあります。最近、出会い系サイトからの迷惑メールを流す事業者を法律で罰する議員立法がある一方で、商法がらみだからと経済産業省が閣法を出そうとして、競合しています。中身はほとんど同じなのに、議員立法対閣法の戦いになった珍しいケースです。国対でも処理に頭を悩ませてます。ただ突き詰めれば議員立法とは名ばかりで、実は郵政省、総務省主導で、議員立法を隠れ蓑に、郵政省対通産省の戦いという昔ながらの戦いをやっていたりします。

質問7:その点に関してスタッフはどうでしょうか。今のところ与党でやられてますけれども、もちろん野党の時代もあるでしょうし野党なんかも本当に情報が来てないと思うのです。その辺の違いで、もしスタッフが必要となるのであればどういう形で実際の政策情報を与える人間が使われるのかと、まさにPRANJのテーマなのですが。

小池: 政策をベースにした政治という事でいうならば、まだまだ研ぎ澄まされた所までいっていないと思います。往々にして政策秘書は、制度の成立過程に問題があったと思いますが、秘書を10年務めるとほぼ自動的になれるシステムになってしまった。古手の秘書が昇給もしますし、ポストも増えますからね。秘書を10年務めたからと言って、政策が分かっているとは限らない。分け方としては余り意味がないので、本来の意味で政策秘書は活用されていませんね。結局、私なんかは性分もあって、ほ
とんど自分でやっています。一番助かるのはネットですね。政策秘書制度はまだ不十分だと思います。また議員の歳費を10%減らすことも議論されていますが、10%減らして秘書を二人ぐらい増やしてもらったら一番いいなと思っています。お手盛りと批判されるでしょうが、現実です。そしたらまた違ってくると思います。今は中途半端というか、日常の作業だけでも人手は全然足りないのです。政策秘書同士の競い合いにまで行けばよいのですが、とてもとても。

議員になっても、選挙の延長ばっかりで、国会にもろくに来ない議員もいます。当選したら、翌日から次の選挙に向かって走ると。民主党でも、新進党でもそうでしたが、まだまだ日本の有権者は新しい方に目が行きます。その時、ラッキーにも当選することもありますが、二回、三回当選を重ねるのは本当に過労症候群になります。皆様のお仲間にも議員になってらっしゃる方がおられるでしょうが、議員になって政策に熱心に取り組んでいると、次は危ないと脅される。政策に熱心だと、次はむしろ危
ないなんて、変な話ですが、つまるところは有権者次第です。

自由党の小沢さんはいつも選挙は握手の数だと言っておられました。今回のテロの件で、アラブのインテリ層は分かっている、でも庶民は分からないという事と全く一緒です。選挙で洗礼をうけるのは本当に大変な事だし、私自身も最初は自分で風を作って、ずっと政策や党のことで時間をとられてますし、海外にも出かけますし、選挙は毎回大変です。都市部は特に恐いです。その直前の空気でがらっと変わってしまって、何を基準にしていいか、途中でわからなくなってしまうんですよ。私はほとんど
やっていませんが冠婚葬祭に精をだすとか。アメリカの下院議員も同じことをしていますね。日本は衆議院であれ、何であれそうです。前に一緒の党にいた経済学博士は、落選した時に、徹底して戸別訪問や冠婚葬祭に励んで、復活してきたけれど、落選中に「頭のしわが伸びちゃった」と言っておられました。自分が当たり前と思っていても、有権者がすべてを分かってくれると思ったら大間違いなのです。

(終)
 

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文責 小池政則氏 (ありがとうございました)

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