2005年5月15日発行
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JMM [Japan Mail Media]                  No.322 Extra Edition
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    ■ From Kramer's Cafe in Washington DC Vol.30
    「続・ボルトン承認騒動」

  □ 村上博美 :ワシントンDC在住

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 ■ From Kramer's Cafe in Washington DC Vol.30
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「続・ボルトン承認騒動」

 ボルトン氏の承認騒動は、思いも寄らぬ方向へ発展している。4月19日の上院外
交委員会で思わぬどんでん返しがあり、ボルトン氏の国連大使承認採決が5月12日
に再度延期。しかも、12日には委員会の推薦なしで上院本会議へ送られるという異
例な結末となった。承認は委員会(18人)の手を離れて上院本会議(100人)で
行われることに決まったが、この2回のどんでん返しの主役はオハイオ州選出の共和
党の穏健派、ボイノビッチ上院議員だ。

 4月19日の外交委員会を簡単に再現してみよう。口から泡を飛ばし顔を真っ赤に
した写真がワシントンポストに掲載されるほど、民主党バイデン議員の熱弁は強烈
だった。特に、自分の意見に異を唱えた1分析官をボルトン氏がクビにしようとした
件で、パウエル長官が「政治的圧力のために情報分析結果を変える必要はない」と分
析官の名前をあげて擁護したという。大きな赤い矢印が書き込まれた組織図を示しな
がら、「なんで(国務)長官が、組織の末端の分析官の擁護をしなくちゃいけないん
だ? そんな職場あるか?」と声を荒げる一方、特にボルトン氏が米国際開発局勤務
時代に契約社員を出張先のロシアのホテルで追廻し、公金使い込みの濡れ衣を着せよ
うと
したことなど新しい疑惑が遡上に。

 しかし、共和党10人、民主党8人からなる外交委員会で、事前に態度を明瞭にし
ていなかったのは共和党チェフィー議員であり、最終的には賛成票を投じると見られ
ていた。よって、その日にボルトン氏の承認が10対8でなされるはずだった。議長
のルーガー氏は何度も採決に持っていこうとしたが、時間も残りわずかというところ
で、共和党のボイノビッチ議員が、もう聞くに堪えないという様子で「私は今日ボル
トン氏承認の採決する気にはなれない」といきなり爆弾発言。それまで苦虫を噛み潰
したような共和党穏健派のヘーゲル議員やチェフィー議員も勢いづいて「これらの疑
惑が本当かどうかもっと詳しく調査するため、採決を延期したらどうか」と提案する。
その日採決を行う腹積もりだったルーガー議長は身内の突然の反乱に狼狽を隠し切れ
ない様子だった。そうして採決は3週間後に延期されることになった。

 この3週間の間、29人の証人喚問、835ページに渡る政府関係機関資料の提出、
1000ページにのぼる調査資料の作成、ボルトン氏への書面での100問の質問と
回答や、委員会メンバー議員によるボルトン氏個別面談が行われた。民主党バイデン
議員は要求した情報がブロックされて手に入らなかったことを「外交委員会が大統領
府をチェックする立場であるはずなのにどういうことか」と激しく非難したが、それ
らの情報を基に共和党・民主党両党の数人がボルトン氏が国連大使に適任かどうかの
論を展開。議長のルーガー氏は、「確かにボルトン氏の行動はいくつかのケースで間
違った憶測に基づいたり、適切な管理手段を欠いていたかもしれない。しかし、積極
的な政策担当者が自分の使命を遂行しようとして行き過ぎた面があっただけで、倫理
に反する行動をしたり法を破ったわけではない。情報を捻じ曲げたとのではないかと
いう疑惑については、それを充分に証明できるものは見つからなかった。氏は情報分
析官と意見を異にしたかもしれないが、最終的には修正したではないか」、と1時間
弱のボルトン支持論を展開。

 一方、同じ共和党でありながら批判的な姿勢をとるボイノビッチ氏は、「ここ数年
でアメリカの単独行動主義に対する風あたりが強くなった情況で、アメリカの対イラ
ク政策に賛同してくれる友人がなんと少ないことか。そんな中で大事なのは世界おけ
る米国の評価を向上させるための外交なのだ。世界に間違ったシグナルを送ることに
なる人事は適切ではない」、としてボルトン氏不支持を表明した。上司であるパウエ
ル長官がボルトン氏の推薦人のリストに名前を連ねていないことや、sライス長官が
「(ボルトン)氏は私の監督下におくから大丈夫」との発言を取り上げ、そういう人
物にアメリカの代表を任せられるのかと疑問を呈した。また、ボルトン不支持という
ことは国連改革に反対なのか、という点については「全くノンセンスだ」とし、「国
連改革をすすめるには、他に適任者が沢山いる」、かえって協調性がない氏がなるこ
とで国連改革に支障をきたすと述べた。ボイノビッチ議員は「私は、この場で自分の
立場を他の同僚に強制する意思はない。これは上院本会議で決議すべきことだ」とし
た。それによって委員会での承認が難しくなったため、議長ルーガ‐氏はボイノビッ
チ氏の提案に対して採決を行い、賛成10票(民主党8人は反対)となり最終採決は
本会議に持ち越された。民主党はこの委員会で承認審議を終わらせるべきだと主張し
たのに対し、共和党の大統領指名の候補者をつぶさないで本会議へ委任という形は、
最終的な指名承認の可能性を大きく残した。

 上院本会議では、ボイノビッチ氏はボルトン承認に反対票を投じると今から表明し
ている。共和党55人対民主党44人・無所属1人という情況で、ボイノビッチ議員
に続く共和党穏健派をどれだけ「反対側」にもってこられるかがポイントである。本
会議での党員に対するブッシュ政権の引き締めは緩まるのか、共和党穏健派の誰が寝
返るか憶測が始まっている。また国連大使の他の候補者の名前もちらほら上るように
なった。ボルトンの国連大使指名はチェイニー副大統領の強い押しが背景にあると言
われているが、ここまで事態が悪化すれば、普通の神経(?)ならば任命を辞退する
ところだが、ボルトン氏に限ってそのような可能性は低いと見られている。このまま
上院本会議に上程されるとなると、時間無制限の演説を行い議事妨害をするフィルバ
スターの可能性も取りざたされるが(フィルバスターを阻止するためには上院100
名のうち60名の支持が必要)、民主党もそこまでボルトン阻止に労力を使うか疑問
視されている。つまり、この後にも論議を呼ぶであろう最高裁判事の指名承認が控え
ており、ボルトンよりそちらが本命と言われている。フィルバスターを行うのであれ
ば最高裁判事の指名承認においてであろう。そうなると、このボルトン承認騒動の落
としどころはどこになるのだろうか。。

参考:C-SPAN, Washington Post 他


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