2006年7月2日発行
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JMM [Japan Mail Media] No.381 Extra Edition
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http://ryumurakami.jmm.co.jp/
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■ From Kramer's Cafe in Washington DC Vol.42
   「小泉首相の来米と日本への関心」

  □ 村上 博美 :ワシントンDC在住

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■ From Kramer's Cafe in Washington DC Vol.42
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「小泉首相の来米と日本への関心」


  ワシントンはここ数日大雨に見舞われている。ところが小泉首相の歓迎式典の時

だけ雲ひとつない晴天となり「運がいい男だと言われるが、天気まで歓迎してくれて」
と満足そうだ。ブッシュ大統領も大好きなジュンイチローと会えてうれしくてしょうがな

い様子。「一応大統領訪問がたてまえ」だが、ハイライトはグレースランドに行って「ザ・

キング(エルビス)に会いに行くことだろう?」とユーモアたっぷりに対応。小泉首相も

共同記者会見の最後に「Thank You American People For 'Love Me Tender' (ア

メリカの皆さん、私をやさしく愛してくれてありがとう)」とエルビスの歌をかけて茶目っ

気たっぷりにしめくくった。

 とにかく2人の間には‘ケミストリー’が確実に存在するようだ。ブッシュ大統領はエ

ルビスの歌を満載にしたジュークボックスを小泉首相に贈ったとか。ブッシュ大統領

による式典や晩餐会への招待も日本の首相にとって破格の待遇だ。エルビスの家
があるグレースランドまでエアフォース・ワン(大統領専用機)で送迎し大統領夫妻
が同行するという厚遇を受けるのも、外国首脳のなかでは珍しい。小泉首相は大統

領夫妻の信頼を一身に集めているようだ。当初は小泉首相のために議会での演説の
機会も用意された。上下両院合同会議での演説は「格式ある行事」であり、これまで
日本の首相が演説したことはない。「めったにない機会だから」と何度も米政府関係

者が促したそうだが、小泉首相は断ったという。演説するだけで米国民の日本を見る
目が多少変わりイメージアップができたかもしれないが残念だ。この先、議会で演説
する機会に恵まれる日本の首相はきっといないであろうから。

 小泉首相とブッシュ大統領の親密さとは裏腹に、議員レベルの日米間でのつなが

りや日本への関心は低い。連休などにワシントンを訪問する日本人議員のほとんど
は記念撮影をして帰るだけで米議員と腹を割って議論をしていく人物がほとんどいな
いことも一因だ。議会での小泉首相の演説がなかったことが残念なのは、米議員の

日本への関心を少しでも高めることができたかもしれないからだ。以前は日本関係の

リサーチスタッフを抱えていた米議員が何人かはいたが、最近はそういう話は聞いた

ことがない。BSEの問題でもあそこまで事態がエスカレートしたのは日米間で議員レ
ベルのつながりが薄かったからという話も聞く。特に米国世論に直結している米下院
議員の日本への関心は皆無であろう。以前議会に勤めていた大学院時代の友人は

日本研究専攻ではなかったが、日本のイラク戦争への貢献を知らない議員が多いの

で、議会で日本への感謝状を読み上げたらどうかと直属の議員に働きかけ実現させ

たという。残念だが米下院議員の日本に対する認識はその程度のレベルなのだ。

 毎年大学院生との共同プロジェクトでその年の日米関係をまとめた論文集を発行し
ているが、当初日本に対する関心を高めてもらおうと何年も前から米国の議員関係

者に配ってきた冊子である。現在、企業や財団からの寄付でこのプロジェクトは運営

されている。最近米国政府関係者に「あれ便利だよね。僕は最後に載っている‘この

一年の出来事’を見ているよ」と言われがっかりした。年表より論文の方に労力がか
かっているのに。日本語にも翻訳されているので是非機会があったら手にとって見て
ほしい(*)。日本語と格闘し日本に関する文献を集め、日米関係者に取材し3ヶ月
ほどかけて大学院生達が書いた論文だ。この作業を通して学生達に日米関係につ
いて深く掘り下げて考えてもらうことは、私たち日本人にとっても将来的に大きな資
産となるだろう。

 ところが、日本研究科を卒業しても日本企業に受け入れ先がない。最近卒業した

あるアメリカ人の大学院生は日本にある日本企業で働きたいが外国人を雇う会社は
少なく「門戸が狭い」と嘆いている。彼は理科系の学部を卒業した後日本や中国に

滞在したことがあり、日本語と中国語と英語を自由に操るトリリンガルだ。中国で事

業を展開している日本企業に就職したいと活動している。将来的によき日本の理解

者となる彼らに、是非日本企業で働き有意義な経験をしてほしいと希望している。も

し日本企業で仕事が見つからなければ、中国企業にとられてしまうだろう。興味があ

るという日本企業の人事担当者の方、是非ご一報を。

*最新版は近々英語版が完成予定。日本語翻訳版がでているのは「2004年の日

米関係:損なわれた対話を超えて」ライシャワーセンター年次報告書、ジョンズ・ホプ
キンズ大学高等国際問題研究大学院、ジャパン・タイムズ社




 


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