設立趣意
−私達は何を目指すのか−
| 二十一世紀の日本はみずからの国の方向を決めるうえで極めて重要な岐路に立っています。
しかし残念ながら日本は時代のダイナミックな変化に対し,その実態をきちんと見据え,的確な対応をするための十分な施行や態勢をまだ整えていません。
現在の日本の政策はグローバルな視点と実質に欠け,国際競争力の衰えをも明らかにみせています。 こうした日本を新生させるための一つのカギは,いま諸外国で各種の政策に関与している日本人の研究者,実務者の経験と知力です。
そうした立場にある私たちは明治維新を敢行した日本人の進取の精神をも再現させる意気込みで,二十一世紀の日本の国づくりに「外」から貢献したいと願うのです。
日本が抱える問題はまず世界の中での自国の位置と役割とを正確に認識していないことだといえます。 いまの世界では市場経済と民主主義の拡大が情報技術の革新により加速され,旧来のイデオロギーを支柱とする国民国家の枠組みを未曾有の試練にさらすとともに,国家の役割そのものの変化を余儀なくさせています。 情報技術の革新と市場経済および民主化の拡大を背景として、旧来のイデオロギーを基盤とした国民国家の枠組みが未曾有の試練にさらされ、国家の役割は変化を余儀なくさせられています。 この新しいうねりは一国の政策が一国内や一時代だけに留まることを不可能にしています。 つまり国は自国独自の政策を形成しながらも,同時にその政策の国際的な意味や影響を考えることを求められるのです。 この結果,「政策研究」や「政策分析」が民主的統治の基本的手段としてますます不可欠になってくるのですが,いまの日本ではその能力がきわめて弱いのです。 「政策分析」が学問としても実務としても立ち遅れ,そのために必要な政策アナリストが不在に近く,その結果,政策リーダーシップが欠けるという状態になっています。 日本の外では私たちのような日本人が諸外国の大学,研究機関,民間企業,公共機関,NGOやNPO,あるいは国際機関でいま多数,働いています。 そうした在外の日本人はいま世界でなにが起きているのか、日本にはなにが問われ、求められているのか、を日本国内にいる同胞よりは敏速かつ的確に知りうる立場にあります。 そうした立場の日本人はここ十年余り,急速に数を増やし、培った知識や情報も飛躍的に拡大しています。 しかしその知識や情報が日本の政策研究や政策形成のために体系的に生かされることは,これまでありませんでした。 私たち在外日本人の研究者や実務家の知の蓄積が日本の政策への貢献という形で活用される場所も機会も手段もなかったのです。 私たちの総合的な知識も能力も日本の学者,研究者,政治家,官僚,さらには国民一般にとって,効果的に利用されず,埋もれてきたといえるのです。 「政策海外ネットワーク」(PRANJ)の目的はこの埋もれてきた研究や知識や経験を活かすための効率的なシステムを機能させることです。 私たちのように海外で政策に関わる者たちからの情報や提言をそのシステムを通じて発信し,日本の政策形成に寄与させることです。 日本での政策をめぐる論争を活発にし,日本人の政策の選択史を広げることでもあります。 そのプロセスでは私たち在外の政策関係者同士が交流を広げ,各国の研究者や実務者との連携をも強めます。そして日本が激動する国際社会で立派に生き残り,より多くの国民がより多くの幸福を得るために必要な知の基盤の強化に寄与します。 日本人が自らとる選択肢を多くすることで,よりよい日本の国づくりにつながるのではないでしょうか。 |